ウツ日記
一般的なうつの症状は、調べればいろんなクリニックのドクターが書かれていると思うが、患者の綴った日記はあまり見かけないきがするので書いていこうかと思う。
発症は10年程前。
職場で女性職員が、嫌な部署に飛ばされるらしいと言う噂が立った。
誰かは確定していないようがったが、私は、もともとそこと似たような仕事をしていたことがあるので、いつか言われるだろうと毎日不安に慄いていた。
ある日の夜。
突然、心臓を鷲掴みにされる感覚に陥った。
心臓が痛くて、息をしても空気がうまく入ってこない気がして、初めて死ぬかもしれないと言う恐怖を本気で感じた。
救急車を呼ぶにはなかなか勇気がいるものだが、その時は同居人を叩き起こし、救急車をすぐ呼んでほしい、心臓が止まりそうで怖い、とうめいた。
それから救急車を待っている間に、体の硬直が始まった。
蜘蛛が死ぬ瞬間を想像してほしい。
四肢の末端から、どんどん内側に曲がっていき、手は握った状態に近くなり、手首も次第に内側に曲がってきた。
この間、自分の身に何が起こっているのかわからず、ただ死ぬ、死ぬ、と言う恐怖感でいっぱいだった。
5分ほどで、救急隊が来てくれ、軽く状態を見て、過呼吸ですね、と告げた。
は?こんなに心臓が痛くて、息ができなくて、死の恐怖と闘っているのに?と愕然とした。
救急車まで運ばれる間、息を吸うより、吐く事を意識してゆっくり呼吸するように指示された。
救急車についた頃には、心臓の痛みは無くなり、指先の硬直も徐々に解かれていき、死の恐怖もなくなった。
この頃になって、いつからかわからないけども、夜中に胸の痛みを感じて、何回も起きてじっと我慢していたらいつの間にか寝ていて朝には忘れていた、と言うことがあったな、と、漠然と思い出した。
予兆は何回もあったのだ。
随分長い間待たされ、隣町の病院が受け入れてくれることになったようだ。
同居人に付き添われ、病院に着く頃には、ずいぶんマシになっていたが、フラフラして貧血のような頭の不明瞭感があったので、ストレッチャーで診察室まで運ばれた。
当直の先生は、残念ながら内科ではなかったようだが、救急隊からの話と、私の様子を見て、おそらくストレスからくる過呼吸でしょうと告げた。
聴診器を当てることもなく。
私はまだベッドから起き上がれずにいたが、薬の処方もなんの処置もなく、後日、メンタルクリニックに行くように指示された。
そして、帰っていいですよと言った。
まだ起き上がれない私に。
さすがにひどいと思い、まだ動けそうにないので休ませてほしいと伝えたら、面倒そうに看護師が車椅子を持ってきて、ベットまで連れて行かれた。
動けるようになったら、会計して帰ってくださいと言い残し、そそくさと消えた。
なんとかフラフラと自力でベッドに横になった時、猛烈に口が乾いていることに気づいた。
同居人に水を買ってきてもらい、半分くらい一気に飲み干したら、すぐに眠りに落ちた。
が、数秒でまた胸が痛くなり心臓が止まるのでは、と恐怖感がおこり、息が苦しくなる。
付き添ってくれていた同居人に、何度も背中をさすってもらい、息を吐いてといわれ、また眠りに落ち、ビクッとして起きる。
何度か繰り返したのち、何とか眠ることができた。
その頃にはすっかり朝だった。
会計で、医療費の精算と、スリッパを借りた。
そう、保険証は持ったが、靴を持っていなかったのだ。
貸してくれたスリッパは、民宿の便所スリッパのようなものだった。
しかも、1000円も取られた。
そのころには、すっかり朝で、仕事にも間に合う時間ではなかったので、事情を話して休みをとった。
すっかり元気だった。
髪はボサボサで、パジャマに便所スリッパというとんでもない服装で、ご機嫌に朝マックを食べて帰った。
長くなったので、続きはまた後日書くことにする。
ちなみに、便所スリッパは、預かり証の控えと現物を持っていけば1000円返してくれるそうだったが、病院の印象は良くないわ、家から割と交通費も時間もかかるわで、スリッパは破棄した。
こんご、ご家族が救急車に乗ることになれば、保険証と財布、靴をもつことを強くお勧めする。
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