詩のようなもの | 月と音楽
月が雲で隠れたり
また現れたりを繰り返している
月が雲で隠れると
世界は一瞬で暗くなり
月が雲から現れると
世界は一瞬で明るくなった
眩しくて瞼を閉じたあと
世界は再び暗くなり
寂しくて瞼を開けていると
世界はまた明るくなった
丘の上が照らされて
そこに誰かが立っているのが見える
あれはあの人なんじゃないか
そして再び暗くなると
そこには誰もいなかったのかもしれない
あれは木の幹だっただろうか
それともあの人だっただろうか
月が雲に隠れたり
また現れたりを繰り返している
月が雲に隠れると
世界は闇に包まれて
月が雲から現れると
世界は再び明るくなる
丘の上に誰かがいて
あれはきっとあの人だと考える
私は瞼を閉じてみて
あの人のことを想像する
握りしめた拳を思い
鋭い視線を思い浮かべる
なんでも破壊してしまいそうな力と
全てを焼き尽くしてしまうような視線
悪魔のような暗闇と
地獄のような絶望のあと
眩しい光が現れて
世界がまた白くなっていく
月は今日も美しくて
胸が悲しみに包まれると
目から流れた涙から
新しい光が生まれ始めた
その光は生きていて
空を自在に泳ぎはじめる
音楽が聞こえたのはそのときだった
光が生まれたときだった
音楽を初めて聞いたとき
光が生まれたときだった
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