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◎漫画『コレットは死ぬことにした』


何度読んでも泣いてしまう、私が好んで読む少女漫画の中では稀有な立ち位置にある『コレットは死ぬことにした』。


この作品は神様と人間のお話で、死後の国冥府の神ハデス様と、薬師である人間のコレットが恋に落ちていく話。

神様がたくさん出てくるのだけれど、ギリシャ神話の登場人物たちだから、漫画として馴染みを持ちつつも、
「あれ?ここの2人って姉弟では…?」
「あれ?つまり殺されかけたのって…?」

みたいな。

ギリシャ神話、かなりドロドロ。
近親相姦はもちろん、近場で恋愛しすぎ。それをかなりオブラートにしてくれているお陰で、少し丸くなっているけれど、実際に調べるともっと根強い確執がある。コワイ。



最終巻。コレットとハデス様。


作者様も仰っているように、神様はとにかくみな美人。反対に、コレットは普通の顔面偏差値の女の子という設定だそう。

けれどふとした表情は、神様に負けず劣らず美しい。それがコレット。

わりと男勝りな(というより猪突猛進)彼女が、ハデス様の前では可愛くなる。そんな様子を表現している先生、凄すぎ。


『コレットは死ぬことにした』というタイトルも好き。1話では忙しさゆえに疲弊しきってしまったコレットが、井戸へ図らずも飛び降り自殺するところから始まる。この井戸が現実と冥府を繋ぐカギ。

それが最終巻を読むと「死ぬ」の意味が少し変化する。コレットは冥府の神様の大切な人になり、また他の神々とも親交を深めていく。
最高神ゼウスもまた、コレットと仲良くなった1人。


ゼウスは「いきものに“神格”を与えられる権利」を有しており、彼女に神様スカウトをかける。

けれど薬師である彼女は、ハデス様と共に生きることと同じくらい、生死と対峙する薬師として患者と正面から向き合うことを大切にしていた。


だからこそ神様になるのではなく、「人間・コレット」として生涯を終える決断をする。

まあ最終的に神様になるのだけれど。「コレット」として死に、「ペルセポネ」という神様としての名前で生きていく。

そんな意味が含まれたタイトル。

調べると、ギリシャ神話でもハデスとペルセポネは仲睦まじい夫婦。

実際のギリシャ神話では、ペルセポネはゼウス(ハデスの弟)とデメテル(ハデスの姉)の娘。
(ほらね、ドロドロ。)
(ゼウスはヘラ様っていう怖い嫁がいるのに。)


一目惚れしたハデスはペルセポネを嫁にしたいと考える。けれど母・デメテルは娘を冥府の嫁にすることに対して反対派であり、拒否する。一方、父・ゼウスはハデスに誘拐を提案。

結局ペルセポネを誘拐して結婚する。
(ほらね、ドロドロ。パート2)


それがこの漫画では、みんなに祝福される形で結婚して幸せを築いていく。

誘拐…もあるけれど、
それは最終巻を読めば分かるよ☺️


ギリシャ神話についてざっくり知ることが出来て、けれどギリシャ神話よりも柔らかくて温かい。
(宇多田ヒカルみたい)


この作品の続き、出ないかなあ〜〜〜!
神様になったコレットとゼウス様の生活、もっと見たいなあ〜🥲

そんな漫画。是非。


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