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現代音楽の作曲家たち⑵
今回も現代音楽の代表的な作曲家を4人紹介していきます。
タイトル画像は、現代音楽の作曲家たち⑴で登場したクセナキスと武満徹が一緒におそばを食べている写真です☺️
⑤ピエール・ブーレーズ (1925〜2016)
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【プロフィール】
・パリ音楽院で勉強したあと、前衛音楽のメッカである"ダルムシュタット夏季現代音楽講習会"をシュトックハウゼンやノーノたちと牽引しました。
・「セリー音楽」や「管理された偶然性」など、現代音楽の様々な手法で書かれた優れた作品を残しています。
・指揮者としても活躍しており、ドビュッシー、マーラー、ストラヴィンスキーなど近現代の管弦楽作品の録音が多数あります。
♪ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌) (1953〜55)
…変わった編成の無調音楽です。シェーンベルクの《♪月に憑かれたピエロ》に影響を受けています。
セリー音楽は「すべての音を同じだけ使う」という十二音技法の進化系で、
「同じだけ使う」のを音の高さだけでなく、音の長さや強弱や音色にも発展させた手法のことをいいます。
♪ピアノソナタ第3番 (1955〜57)
….「管理された偶然性」を代表する作品です。
ケージらによってアメリカで生み出された偶然性は、ヨーロッパ人にはやり過ぎに感じられたらしく、「作曲家が大枠を決め、残りを奏者の自由に委ねる」といった形で取り入れられることになりました。
♪ブーレーズ指揮
ストラヴィンスキー《春の祭典》
…後年は戦前・戦中の音楽の再評価につとめました。
⑥カールハインツ・シュトックハウゼン (1928〜2007)
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【プロフィール】
・ケルン音楽大学を卒業したあと、パリ音楽院へ進み、メシアンやブーレーズに前衛音楽を学びました。
・基本的なセリー音楽を出発点として、「点の音楽」→「群の音楽」→「モメント形式」→「フォルメル技法」と作風が独自の進化を遂げていきました。
♪ピアノ曲Ⅹ (1954〜55)
…7種類の音素材を使用したセリー音楽です。
♪少年の歌 (1956)
…ボーイ・ソプラノの録音(アコースティック音)と電子音で作られていて、当時こういった試みはかなり新しいことでした。
テキストを聖書から使用しています。
♪オペラ「光」より 『ヘリコプター四重奏曲』(1993)
…全曲演奏に20時間かかる「光」の中の楽曲です。
奏者はヘリコプターに乗りこみ演奏します。プロペラ音とトレモロがリミックスされた音楽を、聴衆は会場のスピーカーで聴きます。
⑦武満徹 (1930〜1996)
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【プロフィール】
・独学で作曲を学び、初期は芸術サークル「実験工房」の一員として、メシアンの音楽や電子音楽を研究したり、映画や舞台やテレビの音楽などを作曲していました。
・戦後の日本の音楽界は古典派やロマン派的な作風が一般的だったため、武満の前衛的な音楽は初めは見向きもされませんでしたが、
《♪弦楽のためのレクイエム》がストラヴィンスキーに絶賛されたことで、世界的な作曲家となっていきました。
♪弦楽のためのレクイエム (1957)
…友人の死を悼んで作曲されました。枯淡で晦渋な趣の曲です。
♪死んだ男の残したものは (1965)
…谷川俊太郎の詩による歌曲で、ベトナム戦争の反戦歌として書かれました。合唱曲バージョンもあります。
♪ノヴェンバー・ステップス (1967)
…琵琶と尺八を独奏楽器として取り入れた協奏曲です。
情景描写を担当する印象派風のオーケストレーションと、2つの和楽器が見事に調和した傑作です。
♪雨の樹 素描 Ⅰ(1992)
…大江健三郎の短編小説『頭のいい雨の木』にインスピレーションを得て作曲されました。
とけるような音色の不協和音が、自然の中に降り注ぐ雨水を彷彿とさせます。
⑧スティーヴ・ライヒ (1936〜)
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【プロフィール】
・ミニマルミュージック(短い音型を繰り返す音楽)の代表的な作曲家です。
電子音楽の中でも、特にテクノミュージックの分野に影響を与えています。
・アメリカ人ですが、自身のルーツがドイツ系ユダヤ人ということもあり、ホロコーストやヘブライ文化についての作品があります。
♪ピアノ・フェイズ (1967)
…不思議な感じの曲で、同一のメロディが少しずつズレていくと、次第に別のメロディが浮かび上がって聞こえます。
♪ディファレント・トレインズ (1988)
…「ユダヤ人である自分がもし大戦中のヨーロッパにいたら、違う電車に乗せられて収容所に行っていたかもしれない」という考えの元に作曲された、ドキュメンタリー性の高い作品です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
さくら舞🌸
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