続 絆創膏(ギャップフィラー)という役割
以前、組織の穴を埋める「ギャップフィラー」という役割について書いた。
それから2年、ギャップフィラーの役目に一区切りがついたこともあり、改めてこの役割について整理してみたいと思う。
ギャップフィラーとは、成長中の企業で空いているポジションに絆創膏を貼るように、一時的に穴埋めし、ゆくゆくは最適な人材にそのポジションを引き継ぐ役割である。私自身も、様々なポジションの役割を担い、多い時には5種類の業務のマネジメントを並行して行った。また、会社の成長とともにチームの人数も加速度的に増えた。一方、異なる業務を一手にマネジメントすることが追い付かなくなり、オペレーションが効率的に回らなくならなくなってきたように思う。一時的に穴埋めをする絆創膏の効果の限界が来ていた。
ここからがギャップフィラーの第2の役割である、ポジションを引き継いでいくが始まった。これは、事業の拡大と共にチームを拡大していく正比例の活動ではなく、チームを切り分けて最適な形に作り直しをする活動である。切り分けるというのは簡単に思えて、非常に奥が深い。一つのチームであれば、チーム内でお互い拾いあってきた細かいタスクも、チームを分けることで責任範囲やオペレーションのルール決めが新たに必要になる。また、人と人の相性であったり、切り分けるチームごとの職位の構成、切り分けるタイミングも非常に重要だと考える。これらを間違えると業務の質が落ち、切り分けたチーム間での不和が生じる可能性がある。
一方でチームを切り分ける中で、ECRSの原則に沿ったオペレーション改善が格段に進んだ。今まで俗人的、暗黙知となっていたことが明らかになり、標準化、自動化の活動に注力ができた。(せざるを得なかったとも言える。)
ECRSの原則
・Eliminate(排除)
・Combine(結合)
・Rearrange(交換)
・Simplify(簡素化)
ちなみにECRSの原則はこちらの記事が分かりやすい。
全てが順調に進んだわけではないが、チームの切り分けと最適化については一区切りつけることができた。ただ、切り分けを進め、チームが徐々に小さくなっていく過程で不安を覚えたのは事実である。この切り分ける役割をプラスに表現できないかと考えていた時に目に留まったのが、焼肉である。食肉は部位ごとに適切に解体し、それぞれの特徴を活かした調理をすることでおいしく食べることができる。適切に解体することは肉のことを知り尽くしていないとできない。切り方によって、よりその部位の価値を出すことができる、だからこそ価値がある役割であるといえる。ギャップフィラーの第2の役割であるポジションを引き継いでいくも同じ事が言えるのではないだろうか。(かなりこじつけ感があるが)
ポジションをすべて引き継いだ後、私は次の新しい事業のギャップフィラーを担当することになるだろう。今回の経験を活かし、一時的な穴埋めおよびポジションを引き継いでいくまでの過程を素早く、効率的に行っていけるよう整理していきたい。