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a pair of〜

2、3日前のこと。
「靴下が左右違ってた!」と、昼休みに娘からLINEが届いた。笑い顔のマークも一緒だ。
「履く時に気がつかなかったの?」と聞くと「裸眼だったからよく見えなかったし、違うなんて思わないもん」

洗濯をして一揃えにしておいたのは母親の私であり、今まで30年近くそんな間違いがなかったからこそ、まさか違う組み合わせとは思わなかったんだろう。だが娘よ、もうそろそろ母を頭から信用していたら危険なのであるよ。

どちらも同じようなスニーカーソックスだから、他人にはほとんど見えないし、「違う」とは気づかれないであろうことが、せめてもの救いだった。

さて、今朝のこと。
隣りの家の20代半ばのお嬢さんとエレベーターで一緒になった。スラっと背の高い美人さんだ。見上げるように挨拶をして視線を落としたら、あら、左右のサンダルの色が違う。

白いカットソーに黒のワイドパンツというモノトーンの服装に、右が白、左が黒の、今時の形のラフなサンダルを履いていた。

わぁ、そういうオシャレもあるのねーと思って口に出しそうになったけれど、話したこともないし、嫌味になるかもしれないと思って黙った。

マンションを出ると、彼女は私と前後して歩かずに済むように、通りの向こう側へ渡った。ヒラヒラ揺れる黒いパンツの下から、黒と白が交互に蹴り出される。あれは本当に一対のサンダル(同じデザイン)なんだろうかと目を凝らすが、もう遠くてわからなかった。

ひょっとして、間違えて履いてるってことある?

いや、それはさすがに、玄関で履く時に分かるだろう。
最初から左右で色の違う製品があるのかもしれないし、同じデザインで色違いのサンダルを買って、わざと右と左の色を組み変えたのかもしれない。
最近のオシャレは何でもありだ。

あるいは、ユニセックスなデザインだったから、彼氏と片方ずつ交換したのかもしれない。これからデイトかな。うん、それはなかなか斬新なペアルックだわ。

いずれにしろ、あの足元で1日を過ごして、誰にも何も言われないものだろうか。少なくとも、「おや?」と首を傾げる人は私の他にもいただろう。

ねぇ、本当に間違えじゃなかった?