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「雑用のプロになる!」


この記事では、英検準1級を持っているというだけで、ゲーム好きでもない私が、ゲーム会社にプロジェクトアシスタントとして入社した始まりを記事にしています。

新入社員としての当たり前の「待ちスタンス」では生きていけなかった私。
とりあえず初回の給料日まで生き抜く!というきっかけが、 「雑用のプロになる」というコンセプトを掲げるまでに変わっていきます。

「雑用」と聞いて、プライドが許さないと辞めていったエリート採用の社員もいました。 でも私には、それがなぜショックを受けることなのか分かりませんでした。
プライドを持たないこともまた一つのプライド。 だからこそ、なんでも出来たのかもしれません。

そして、それが今の「行動力」を生み出していく原点になったことは、間違いがないと思うのです。


不安な初日


「はい、ではそれぞれの部署に案内します」

会議室に集められた新入社員たち。

この会社は2フロアを使用していて、
下階には人事総務経理のバックオフィス、ネットワーク部門、サウンド部門。上階は完全な制作スタジオと事業部が占めていた。

私が案内された事業部で待っていたのは、L字型の机に2台のパソコン。
Mac と Windows が鎮座していた。なぜこんなに大きな席?なぜ2台も?

怖い!

手探りの始まり


先輩アシスタントのNさんに「何をすればいいですか?」と聞くと、「とりあえず社内を把握してきて」との返事。
これ幸いと社内見学に。

- 開発の人の机はフィギュアまみれ
- 自販機のジュースが安い(¥30)
- コーヒーは飲み放題
- 女性が少ないのでトイレは空いている
- 喫煙室にヌシっぽい人がいる
- 東西南北で見晴らしが最高!!

とにかく、コンピュータの数が多いこと!当たり前だけど。

午後になり、美人プロマネから紹介された担当チームのディレクターは、有名な恋愛ゲームから引き抜かれた人だった。

そして私への最初の仕事は... 開発中のゲームの「アタリをとる」作業。
ゲーム内のキャラクターを使ってチェックする単純作業。

密室のブースで黙々と作業するも、1時間後には爆睡。
誰にも気づかれないまま17時に目覚める始末。

※ゲーム制作において「当たり判定を取る」というのは、

ゲーム内のキャラクターやオブジェクト同士がぶつかったことを認識するための仕組みです。この作業を「アタリを取る」とも言います。

たとえば、キャラクターが壁にぶつかったときや、敵の攻撃が自分のキャラクターに当たったとき、ゲームがその「当たった」ことを知る必要があります。これが「当たり判定」の役割です。この作業をすることで、キャラクターが壁を通り抜けてしまったり、攻撃が効かなかったりといった問題を防ぐことができます。Collision コリジョン(衝突)ともいいます。

「アタリをとる」とは

😴 😴 😴 

戸惑いの日々


この会社は裁量労働制。
出勤のカードキーを通せば後は自由なはずなのに、18時を過ぎても誰も帰る気配すらない。

翌日も誰からも指示はなく、自分で御用聞きに回らなければ何もすることがない。2台のマシンを与えられていても、2台と1人でフリーズ状態。

バイトでも会社でも、新人は先輩や上司から指示を受けて動くもの。そんな常識は、ここではまったく通用しなかった。
1日中、机でじっとしていることさえ我慢できれば、誰も気にも留めない。

限界の3日目

「ここでは無理だ。もうやめよう」

高層フロアから都会の街並みを見下ろしながら決意した。その夜、自宅に帰って退職願を書こうと封筒を探していたとき、ヤツが出てきた!

光熱費の請求書。
銀行残高2桁の私には、退職という選択肢は許されなかった。とりあえず、カネがいることだけは確かだった。

どうせ1か月はいないといけないのなら、勉強しよう。
誰が何をしているのか、置いてある機材はなんなのか?

朝早く行って、誰もいない間に調査開始!

🔎 🔎 🔎 

変化の始まり

そんなことをしているうちに季節が変わり、私はあのL字机でパソコンの改造を始めていた。

「出力パワーが足りないんだよね」

宇宙戦艦ヤマトか!と思うような言葉にも、すぐに「ん〜、対処します」と答えられるように。

とにかく、開発には機材が命。
この知識の強化は、買い出しに行った電気街でしつこく質問して学んだ。
そして社内では、アメリカ映画に出てきそうなハッカー風のネットワーク部門の人たちから、専門知識を必死で吸収していった。

そして、自分の中で一つのコンセプトが確立した。
「雑用のプロ」になるということ。周囲は開発のプロ。だったら、私は雑用のプロになる。

こうして、「雑用のプロ」またの名を「究極の何でも屋」になった私は、
「来週から企画2名、デザイナー4名、プログラマー1名採用することになった」
と、突然のディレクターからの一言でも、動じず・・・決して動じず・・・即座にタスクを細分化。

- チームの予算使用の稟議を回す
- 承認をとって現金仮払い申請
- 購入内容をディレクターに確認
- 機材の購入(7名分)
- パソコンの組み立て
- 動作確認
- ソフトウェアのインストール
- 入社日までに設置完了

この間にも、開発中のゲームのチェックや、出張手配、機材修理の依頼など、雑務は山のよう。でも、動けば動くほど、自分の存在意義が確立されていく。それが何より、仕事の面白さになっていった。

裁量労働制で「3分でもOK」と言われて入社した会社なのに、気づけば毎日12時間以上は働いていた。3分で帰ったことは1回だけ。でも不思議と気分は悪くなかった。

変則的な勤務時間のせいで友達との付き合いは減ったけれど、代わりに美人プロマネから声がかかるようになった。

彼女は飲みと歌が大好き。globe の新曲が出るたびに、マークパンサー役を任される私。こうして「社内接待」という新たな役割まで増えていった。
そして、これは18年後の開発営業職で大いに花開く能力となった。

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今に繋がること

誰も教えてくれなかった環境。でも、お金がないから辞めれなかったことをきっかけに、自走力が身につき、それが今の「行動力」という強みになっている。

必要なことは自分で見つけ、適切な相手に聞き、知識に変えていった。
今となっては、あの日の選択に感謝しています✨


気づけば業界歴25年。
ライティングを学んだがきっかけで note を書こうと思い、そして、今では過去の回想が、とても愛しい思い出旅行になっています。

こんな私のただの始まりの記録を、本日も最後までお読みくださり、有難うございました。
フォローいただけるとパワーになります。
決して損はさせません!!

※明日より、また入院治療となってしまいましたため、更新は遅れ気味です😭


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