ブラックな教職を続けるメリットとデメリット
40歳前後のいわゆる中年の危機を境に、私は教職をこのまま続けることに、疑問を感じ始めました。
下のグラフは、文部科学省による令和4年度の教育職員の精神疾患による病気休職者数の推移です。
文部科学省によると、精神疾患による病気休職者は前年度から642人増加し、6,539人と過去最多とあります。
とても対岸の火事とは思えません。
後でもふれますが、感情労働と言われる教職。
精神的な疲れも含めて、私自身の働き方やキャリアチェンジを考えることを機に、今回は教職を続けることのメリットとデメリットについて考察します。
あくまでも、個人的私見であることを念頭に、お読みいただけますと幸いです。
続けることのメリット
教職という仕事のやりがい
「子どもが好き」「児童・生徒・学生の成長を見守る喜び」「専門職としての教科指導へのやりがい」
人を育てる、専門的知識や技術を活かせるなど、AIにとって変わられることのない仕事と言える教職。まず第一に、仕事へのやりがいが挙げられるのではないでしょうか。
福利厚生の充実
産休・育休や年休が1時間単位で取得可能など、子育てや介護などがあっても仕事を続けやすい仕組みが整っています。
育休が最大3年取得可能なことや子の看護休暇などで、私自身子どもが小さく手がかかる時期も、子育てと両立しながら乗り切ることができました。
福利厚生については、以前記事を書いてるので、こちらも併せてお読みいただけますと幸いです。
地方公務員としての安定性
私学と異なり、公立の学校教員の場合は地方公務員となります。
法にふれる行為や信用失墜行為等ない限り、安定的で継続的な給与の受給が可能となり、ライフプランの見通しが立てやすくなります。
結婚や子どもを何人もつか(どちらも望む場合はですが)、住居を賃貸にするか持ち家にするか、その場合ローンをどのように組むかなど、ライフプランに合わせた資金計画が立てやすくなるのではないでしょうか。
受給可能な退職金や年金額
人生100年時代と言われる現代。60代で退職してからの人生も長いと言えます。
現在受給される給与だけでなく、受給される退職金や年金額も考慮に入れた上で、転職や退職を考慮することも必要だと考えました。
個人的には年金だけでなく、70代まで細く長く働けるように、体力と専門性を高め、社会で必要とされる人材になりたいと思います。
続けることのデメリット
長時間労働
保護者対応(勤務時間外になることも)、部活指導(こちらも時間外あり)などにより、自分の人生の貴重な時間が奪われていると感じます。
私はなるべく17時に退勤するようにしていますが、それがままならないことも。
長時間労働を余儀なくされる働き方を、今後のキャリア人生の終わりまで続けることの難しさ
を感じます。
「感情労働」による精神的な疲労
公立の学校のため、落ち着いた学校・学年(学級)で教鞭がとれるかどうかは、運によるところも。
荒れた学校や学年の担当となると、精神的疲弊が毎日続きます。
先にふれた文科省の調査「精神疾患による病気休職者数」が私にとって対岸の火事でないのは、このためです。
教科指導に専念できない
保護者対応、生徒の問題行動への指導、部活指導、その他多くの教科指導以外の業務に忙殺される公教育の現場。
教科指導に特化した働き方を望むのであれば、キャリアチェンジや退職も視野に入れざるを得ないと考えています。
また、これはあくまでも私個人の望みですが、今後の人生でやりたい仕事(後進育成や大学教員への校種転換)と現在の仕事との差へのモヤモヤ感もあります。
まとめ
地方公務員としての教職は、給与も悪くなく、福利厚生も充実しています。
しかし、今回言語化することで、私が現在の仕事内容にやりがいを感じつつも、長時間労働による弊害や校種転換も視野に、考えていることが可視化されました。
特に私にとって、人生の残された「時間」を給与と同じかそれ以上に重要視していることが、確認できました。
書籍からの気づきと、体験からの気づきが繋がっています。
とは言え、仕事を辞めて大学で非常勤として教え始めることに、二の足を踏んでいる現状です(地方公務員を辞めることに勇気が要ります、私の場合)。
現段階では辞めるか続けるかの0か100ではなく、現在の仕事を続けながら、次の段階に進む準備をしていきたいと思います(例 : 学会発表等)。
何が次に繋がるか分からず手探りながらも、経験と実績をつみ、社会で必要とされる唯一無二の人材となれるようキャリアを積んでいきたいと思います。
以下は、今回の執筆で参考にした書籍です。