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黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2020年9月18日 16:31
空気を吸うように愛を吸う今、私は肉体を手放し、ひと休みしているの。これまで生きてきた人生を走馬灯のように振り返り、あなたにお話ししたの。あなたにお話ししながら、私の魂は色が抜け落ちるように少しずつ薄く軽くなっていく。魂は思いがたくさん詰まったままだと、重くて上に上がれない。現世であった様々な思いを手放し軽く、軽やかになり、風船のようにすうっと、極楽浄土に行く準備をしているの。こうや
2020年9月17日 16:40
なんの後悔もない人生それからも色々ことがあったわ。六十歳の時、歴史的な大火事が起こった。四十七歳で亡くなった家光を見送り、家光の長男が四代目の将軍徳川家綱となった時のこと。後に後に江戸三大大火とも言われた明暦の大火だった。この火事で私の住んでいた竹橋御殿も焼けてしまった。火の勢いは凄まじかった。真っ赤な火が大きく手を広げ、江戸城や、江戸城の周りにあるたくさんの大名達の屋敷や江戸の町も、
2020年9月15日 16:58
お金に復讐される「私、天樹院様さえよろしければ大奥に戻らず、ずっとこちらに住みたいです」生まれたばかりの赤ん坊は長松と名付けられた。長松を抱っこした夏殿が私に懇願した。私はおやっ、と彼女の顔を見た。夏殿が言うには、窮屈な大奥での暮らしより、ここでの自由で息のしやすい生活が自分のためにも子供のためにいいのでぜひに、との事だった。私は夏から赤ん坊を受け取り、抱っこした。ふっくらした頬をもつ
2020年8月5日 16:08
いくらセレブでも、お金で買えないものがある今朝、ショッキングな話を聞いた。ついに秀くんの側室さんに、お子ができちゃった。その知らせを聞いた時、ズドン!と弾丸で胸を貫かれたように、わたしの心に穴が開いた。覚悟はしていたけど、どっと落ち込んだ。ペタンと畳に座り込み、しょぼくれているわたしに刑部卿局が言った。「姫様、高台院様にお会いしてこられたら、いかがでしょうか?」わたしがうなづくと、刑部卿