書籍:運転者
作家の喜多川泰さんによる小説『運転者』を読みました。
Amazonレビューが1万5千件台…
ものすごくファンが多い小説です。
喜多川泰さんの作品は「自己啓発小説」と呼ばれているようで、物語性の強い自己啓発書と言えるかもしれません。
自己啓発小説といえば、ドラマ化・アニメ化された『夢をかなえるゾウ』が有名です。
こちらのレビューは1万6千件台でものすごい件数ですが、『運転者』はそれに匹敵するほどのレビュー件数だと言えます。
「レビュー件数が多いから名作だ」と言いいたいわけではありませんが、自己啓発小説の代表作であることは間違いないと思います。
今回、ストーリーには一切触れず、自己啓発の面で語られる内容を記載いたします。
ちなみに「運転者」は「運を転がす者」という意味合いで、「運」についての自己啓発になっています。
上機嫌でいる
運気を捕まえるアンテナは、すべての人にあります。
「運が良い人」と言われる人がいますが、そのような人は、運気を捕まえる感度が高い人だと言えます。
目の前に転がってきたチャンスを捕まえられるような人が、結果的に「運が良い人」となったとも言えます。
この運気を捕まえるアンテナは、自分の機嫌次第で感度が変わります。
上機嫌の時にこそ、運気のアンテナの感度は最大化されます。
機嫌が悪い状態では、目の前に発生した出来事すべてが嫌なものに見えてしまいます。
それがラッキーなものであったとしても、関わりたいとも思わず、早くその出来事から遠ざかりたいと考えます。
自分の機嫌を、良い状態に保っていないと、運が巡ってきても掴むことは難しくなります。
即効性を求めない
機嫌を良くしていたら、すぐに幸運になれるかというと、そんなことはありません。
運のタネを掴んだあと、それが幸運としていつ芽を出すかはわかりません。
時間がかかります。
努力にしろ、幸運にしろ、すぐに結果が出るというものはほとんどありません。
積み重ねが必要です。
稀に即効性が高いものも実在しますが…
基本的に、多くの場合で、何かがすぐに結実するということはありません。
タイパ・コスパという言葉が溢れていますが、その言葉に引きずられすぎると、掴んだ運のタネを手放してしまいます。
楽しそうなものをする
何事も結果が出るまで時間がかかるのであれば、どのように物事と向き合ったら良いでしょうか。
タイパ・コスパを意識すると、どうしても「短期で得するもの」だけを選ぶようになります。
そのようにして選んだものに対して、時間をかけてじっくりと取り組む気にはなりづらいものです。
ここで、「楽しそう」や「面白そう」を優先させてみても良いかもしれません。
行為そのものを楽しめるようなものであれば、損得だけに振り回されずに、面白さだけで継続することができます。
誰かの幸せのために時間をつかう
運はポイントカードのようなもので、貯めることが可能です。
誰かのために時間を使うほど、運は溜まっていきます。
その時に使った時間と、その時に返ってきたリターンの差分が、運としてチャージされます。
例えば、あなたはプロのイラストレーターとして生計を立てていたとします。
そんなあなたが、友達の誕生日に、ステキなイラストをプレゼントしたとします。
そのタイミングでは「ありがとう」という言葉のお返しを受け取ったとしましょう。
もしかしたら、その時間を商業的な活動に充てていたら、お金が稼げたかもしれません。
そして誕生日のイラストの結果得られたものは、感謝の言葉です。
とてもステキなことだと思いますが、掛けた時間に対するリターンは、不釣り合いにも思えます。
このギャップが生じたときに、運がチャージされます。
誰かに使った時間と、その時に得られたリターンのギャップが大きいほど、後になって大きな運気となって返ってきます。
トータルでみたらプラスの思考
「これは楽しそう」と思って、誰かのために時間を使うことに対して、次のように思うこともできます。
「本来は自分が得られたはずの利益が、他者に渡った。」
しかし、次のようにも考えることもできます。
「全体でみたら、全員にとっての利益が出た。」
ホモサピエンスは、誰かのために行動することで幸福を感じられる生き物です。
そう感じるタイプの遺伝子を持った人が、確率論的に生き残っていきました。
その結果としての子孫の現代人も、同じように、誰かのために行動することを良しとします。
自己の範囲を「たった一人の自分自身」とすると、他者貢献は損と感じます。
自己の範囲を広げて、「友達」や「地域」までを身内と考えられる人は、他者貢献は得と感じます。
自己の範囲を広く捉えると、誰かの幸せのために使った時間は、「トータルでみたらプラス」と考えられます。
このように捉えることで、即効性を求めず、楽しいことをやって、それが他者のためになり、上機嫌でいることで、運を味方につけることができるようになるのだなぁと思います。