ナチュラル・リーダーシップ
「リーダーシップ」というと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?
目標を設定して
メンバーを鼓舞して
指揮をとる
このようなものをイメージするかもしれません。
「リーダー」というと、どのような人を思い浮かべるでしょうか?
スティーブ・ジョブズ
ジェフ・ベゾス
イーロン・マスク
このような方々をイメージするかもしれません。
では、なぜこの人たちを思い浮かべたでしょうか?
ビジョナリー
カリスマ性
天才的
これらは、私達の多くが持つリーダー像でしょう。
「強い」ことがリーダーに求められていると感じています。
そして、それにあわせようとして無茶をしたり、あるいは「自分には無理だ」と思ったりしているかもしれません。
そのような考えを持ったことがある方に、ぜひオススメしたい書籍があります。
それが「ナチュラル・リーダーシップの教科書」です。
ナチュラル・リーダーシップ
この「ナチュラル・リーダーシップ」とは何でしょうか。
書籍の中では、以下のように説明されます。
前提として、いまはVUCAの時代と呼ばれ、変化が早く、様々なものが予測不可能な社会となっています。
その中で、皆が新しいスキルや知識の習得を要求され続けています。
しかし、スキルや知識のアップデートだけでは、この時代に対応するのは難しいでしょう。
そこで何が重要となるか。
それは「感覚」に基づいて発揮されるものです。
この「感覚」は、いまは埋もれてしまっているケースが多いとされます。
社会のなかでは「どうすべきか」ということが優先され「どう感じるか」ということがないがしろにされます。
ここで鈍ってしまった感覚の中から、「埋もれている力」を掘り起こすことが重要です。
ホースコーチング
この「感覚」を呼び戻すために、自然の力を借ります。
近年、多くのリーダーがホースコーチングというプログラムを受けています。
スタンフォード大学や、ナイキ、アップルなどのリーダーたちがホースコーチングを受けており、日本では資生堂の受講実績が有名です。
著者の小日向素子さんは、このホースコーチングを運営している株式会社COASの代表をされています。
ホースコーチングでは、例えば観察のプログラムがあります。
牧場にいる馬の群れの中から、「どの馬が群れのリーダーか」を観察して当てるというものです。
多くの人が「大きい馬」をリーダーだと想定します。
理由は「大きくて強そうだから」ですね。
実は、馬の群れにおいては、ヒエラルキーは流動的です。
その時々、状況にあわせて、必要な情報を持っている馬がリーダーとなります。
捕食者から逃げるとき、水場に移動するときなど、その状況にとって適切な馬がリーダーをつとめます。
この状況は、私達が今おかれている社会における「これが正しい」とされる考え方からしたら、想像が付きづらいものでしょう。
二つの檻
私達は、現代社会において、二つの檻に囚われていると著者は語ります。
競争の檻
言語の檻
一つ目は「競争の檻」です。
小学校から大学受験にとどまらず会社の仲間でも、組織での出世レースに追われています。
あるいは、会社同士の競争。
二つ目は「言語の檻」です。
自分が発した言葉や、他人から発せられた言葉に囚われています。
あるいは、社会から発せられた言葉。
これらによって、感覚が鈍くなり、今の社会における「これが正しい」とされる考え方に染まっています。
身体感覚
感覚を研ぎ澄ますことによって、様々なことを感じ取ることができるようになります。
例えば、目を閉じて身の回りにはどのような音が流れているか、感じ取ってみます。
鳥やセミの鳴き声、車のエンジンの音、換気扇、PCのファンの音、隣の家から聞こえてくるテレビの音。
これらは、実際に音がなっていますが、仕事をしている間は無視していたものでしょう。
リーダーには「相手の話を良く聴くこと」が求められますが、どのくらい聴けているでしょうか。
声の抑揚や間や速さ。
声が強張っているかどうか、リラックスしているかどうか。
これらからは重要な情報が発信されていますが、受け取れる感覚が鈍くなっていたら、見逃してしまう情報でもあります。
近年「レンマ」という言葉に注目があつまっています。
これは「感覚によって物事をまるっと理解する」といった意味合いのものです。
ここでも感覚の重要性が語られています。
ナチュラル・リーダーシップは、「自然や他者の一部であるという感覚に基づいて発揮する」リーダーシップです。
VUCAの時代においては、今までの「強い」リーダーシップとは異なるリーダーシップについて向き合う価値があるように思えます。
参考)超相対性理論
このホースコーチングのプログラムの内容は、Podcast『超相対性理論』でも語られています。
この放送で知られた方も多いのではないでしょうか。
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