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【17日目】湖のリゾート地でフィッシング!続く試練!

一晩中、馬を見張りながらやっと迎えた日の出。

昨日の晩御飯に食べたゆで卵のせいかまだかなり腹が痛い。
とりあえず日も出たことだし、ほとんど寝れてなくて眠いし、抗生物質を飲んで1時間ほど寝ることにした。

朝6時過ぎ、日差しの暑さで目が覚めると腹は少し楽になっていた。
ジョナサンもクロも草がよかったおかげか調子は良さそうだ。

昨夜、スマホで調べた昔の騎馬軍の進み方を実践してみることにした。
20分並足、10分早足をひたすら繰り返すというもの。

ジョナサンもクロも集中が途切れず、自分自身も飽きないからすごく調子がいい!
こんなにいいペースで進めたのは出発して以来、初めてのことだ!
やっとコツを掴めた気がした。

この先、ずっとこの調子を保てたら東端の町まで余裕でつけるんじゃないかな?なんて考えつつ、大声で歌いながらひたすら荒野を進んだ。

途中で見かけた道路工事現場

近いうちにアスファルトの道に変わってしまうのだろうか。。。

50km近い道のりだったけど15:30には目的の湖に到着!
何もない大きな湖だと思っていたら、湖に沿ってホテルのような建物を含め5軒くらいゲルではないちゃんとした建物がたっている。

湖岸にはたくさん人がいて(とは言っても見渡す限りの範囲でせいぜい40人程度だが)、泳いだりBBQをしたりしている。

どうやらリゾート地のようだ。
慣れない環境に戸惑いながらホテルの駐車場にいる警備員らしきおじさんに話しかけてみる。

「この辺に飯を食べれるところってあります?」
「そのすぐ隣の建物がレストランだよ」
「ここに馬を繋いでおいてもいいですか?」
「どうぞ」

馬での来客が珍しかったのか警備員のおじさんは少し戸惑っているし、レストランにいたウェイターの女性4人も手を止めてずっとこちらを見ている。

周りを見渡してみると、確かに車ばっかりで馬はいないようだ。

大体、今までの感じだと水場の近くには馬か羊はいるんだけどリゾートだからかな?
馬から降りてレストランに向かうとウェイターの人たちに質問攻めにされた。

魚のホーショールを4つ頼み、その場で状況を説明しながら食べた。
やっぱりホーショールは羊肉じゃないとイマイチだ。

コックのおばさんに「湖の水は馬も人も飲んで大丈夫?」と聞いたら、馬は大丈夫だけど人は辞めておいた方がいいとのこと。

予備の水はまだあるから、いつものミニッツメイドのオレンジジュースを3本買ってクロに跨った。

キャンピングカーや水着ではしゃぐ人たちの中を、ボロ切れ同然の衣服を身にまとった状態で通るのだから目線が集まらない訳がなかった。

居心地の悪い視線に足を少し早めつつ、人が少なくて草の生えている場所を見つけ、そこにテントを張ることにした。

クロの鞍を外すと、前回とは違う場所にすごく小さいけど鞍ズレが出来ていた。
今日は乗り方もすごく注意していたし、汗をかいたからなのか、歩かせている時なのか原因が全く分からない。

とにかく明日からはしばらくジョナサンに乗ることにしよう。
クロとジョナサンにたっぷり水を飲ませた後、せっかくだから水着に着替えて湖に入った。

思っていたよりも湖の水はずっと冷たくて思わず体が縮こまる。
叫んで気合いを入れなおし、泳いでみたら徐々に慣れてきたのかそんなに気にならなくなった。

せっかくだからそのままタオルで体を洗って、釣り竿を取り出した。
さっき釣りをしている人を見かけたけれど、泳いでた時に小魚の一匹も見なかったからどうせ釣れないだろう。

のんびり竿を振ってるだけで少し贅沢な気分になるし、まともにルアー釣りはやったこともないから適当に投げてはルアーを巻きながら30分。

そろそろ晩御飯の支度をしなきゃなと考えていると、急に竿がしなった!
かなり強い引きだ!
近くのファミリーも応援してくれてる!

何とか巻いて引き寄せると30cm超えの魚が釣れた!
ちゃんとルアーで釣ったのは初めてだ!

クロとジョナサンも今までにないほど順調で、その上大きな魚まで釣れるなんてこんないい日が来ることもあるのか!

今まで毎日トラブルばかりだったから少し感動した!

応援してくれてたファミリーのお父さんに「これ食べれる?」って聞くと「やめておいたほうがいい」とのことだった。

正直、眠いし魚を捌くのは少し面倒だなとも感じていたので、少し勿体ない気はするけどすぐにリリースしてあげることにした。

テントで晩御飯の用意をしているとさっきのお父さんが魚のホーショールと水を持ってきてくれた。

ご飯を食べて、軽く寝ていると「こんにちはー!!」という子供の元気な声がした。

テントを開けるとさっきの家族とは別の子供3人がニコニコこちらを見ている。
「どうした??」
何も答えることもなく、笑いながら子供たち3人が手招きをして走り始めた。

今日はいい日で精神的に余裕もあったし子供たちと遊んでやるかと追いかけてみたら子供たちの走っていった先で大人たちが宴会をしていた。

恰幅のいいおじさんが「おー、来たか!食え食え!」と輪に入るように手招きをしてくれた。

「もう晩御飯は食べちゃったんだけどちょっとだけなら!」と焚火の輪に入れてもらうと、話を聞いてたのか?っていうほどたっぷりと羊の内臓鍋と肉ご飯をよそってくれた。

やっぱり肉はうまい!内臓鍋も新鮮だからかなりうまい!

アルヒ(ウォッカ)も貰いつつ、今までの旅の話をして楽しい時間を過ごした。

こんな毎日が続けばいいのになと本気で思っていたけど現実はそんなに甘くなかった。

おじいさんが真剣な顔で口を開いた。
「ここの水は絶対に馬に飲ませるなよ。馬が死んでしまう」
「え!?なんで!?さっきたくさん飲ませちゃった。。。」

この先、おじいさんが色々と説明をしてくれたのだけれど難しい言葉ばかりだったから英語の流暢なバイラーという30才くらいの男性が通訳をしてくれた。

ここの湖は工事の影響で化学物質が混じってしまっていて有毒ならしい。
さっき釣った魚が食べれないと言われたのもそれが原因だったのか。

胸元から地図を出して、「ここの湖なら大丈夫?」と聞いてみるとこの辺り一帯の湖は全てダメだと言われた。

バイラーがもっと詳しい地図を出してくれて、近くの川や村の情報を教えてくれた。

この地図が獣道やら道路の距離などが細かく記載されていてすごく分かりやすく、首都ウランバートルまでの道のりを全て写真に撮らせてもらった。

地図の一部(この道のほとんどが未舗装でタイヤの轍だけがついているような道)

気付くと風がすごく強くなっている。
みんなは荷物を車に積み始めた。

「あれ?ここには泊まらないの?」
「ここは風が強いから自分のゲルに帰るよ。ここに泊まるのか?」
「そうそう。あそこのテントで泊まるつもり」
「これからもっと風が強くなるからテントじゃ無理かもな」

そう言うとあっという間にみんな帰ってしまった。
さっきまで周りで騒いでいた人達も誰一人いない。

23時すぎ、今夜は雲も厚くて月も出ていなく、もちろん街灯もない完全に真っ暗な湖畔に俺一人。
風も台風並みに強くなってきている。
急に心細くなってきた。

こんな中を懐中電灯の光だけで草の茂っている場所を探して、岩や崖を避けながら移動しなきゃいけないのか。

せっかく今日は順調に終わるのかと思っていたのに結局、毎日俺の度量ギリギリの試練ばかり。
もういいだろ。この辺で。

そんな気持ちでいっぱいだった。

半分ヤケになって、急いで荷物をまとめて吹っ飛びそうになっているテントを無理矢理畳んだ。

拳くらいの石がゴロゴロしている荒野をこの真っ暗な中、乗馬するのはあまりにも危険だから馬を引きながらひたすら歩き始めた。

ご馳走してもらったアルヒのおかげで感覚が少し麻痺していたから救われた気はする。

崖が多くて何度も迂回しながら進む。

草が生えているところをなかなか見つけられずに結局薄明るくなってきた4時頃に草の生えている窪地を見つけてそこにテントを張った。

5時頃、寝袋に入る。

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