わたしの街がレトロでエモい
両親の大事にしている車を手入れするために、よく一緒に洗車へ行く。わたしは免許を持っていないけど、ホースから水を出す感覚が好きなのでついて行って手伝いをする。
古臭いこの機械にお金を入れてボタンを押すと、水やシャンプーがホースから勢いよく飛び出す。
夏場は涼しくてほんっとに気持ちがいい。
ウチの車も「気持ちいいッス」っていつも言ってる。
行きつけの洗車場は、ずいぶん昔からあったような雰囲気だ。すいがら入れや洗車カードを買うことができる機械にはサビがついている。
錆びつくくらい長く使われている物質を見るとエモさを感じる。
隅々まで車を綺麗にしたらそのままドライブをする。お気に入りの場所へ行こう。
わたしの街にはたった一つだけレトロ自販機が存在している。レトロ自販機は、もう日本中を探しても少ししか残っていない。
私が生まれるより随分前からそこに佇んでいるのになぜか懐かしさを感じる。
お金を入れてボタンを押すと、熱々の天ぷらうどんが出てくる。
そこに七味をかけてズルズルっとかきこむ。
あたたかでエモいこの街が全身に染み渡った。
櫻
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?