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佐久穂町の昔の集落の暮らし 大石②~水と共にあった暮らし~
川沿いの集落、大石。大石水源にもほど近く、豊富で良質な水と暮らしがとても密接にあったようです。今回は大石公民館にお集まりいただいた皆さんに、昔の集落の暮らしを教えていただきました。何十年も共に過ごした気心知れた仲間同士でのお話は、生き生きと当時の様子を映し出します。
最初の記事はこちら―――
お話を伺ったのは…
<大石在住>
菊池 常雄さん(87)
篠原 春之助さん(83)
島崎 暁子さん(82)
菊池 千賀子さん(81)
菊池 光夫さん(77)
相馬 元一さん(81)
西沢 茂人さん(73)
(座っていた席の順に記載)
男性陣は生まれてからずっと大石で暮らしていると話してくれました。女性陣は途中で外に働きに行ったり、お嫁に来てから暮らしていたりしましたが、長くここで暮らす皆さんです。
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伊勢湾台風と石積み
菊池 光夫さん(以下 光)「伊勢湾台風で(橋などが)流れたで、その時初めてブルドーザーっていうの見たで。」
インタビュアー(以下 イ)「伊勢湾台風の後の復興で、ということですか?」
光「昭和34年の。その時、初めて(ブルドーザーを)見たよ。それまで、そんなものは見たことねえじゃん。おらほが小学校6年かそこらの時だ。ここの石垣はみんな、大石の川の石。石屋が積んでな。」
菊池 常雄さん(以下 常)「今こんな堤防ねえよ。みんなコンクリートでな。」
イ「え、ここはまだコンクリートじゃないんですか?石垣って、川の中の段になってるところのことですか?」
篠原 春之助さん(以下 春)「斜めのところが石垣ね。帯になってるところはコンクリートだけどね。」
光「その人(常雄さん)も、石屋の一人だよ。」
常「昔はな(笑)災害で、石を集めてな。」
イ「石垣は、一つ一つ石屋さんが石を積んで作るんですか?」
光「石屋つったらおめえ、そうだ。こういう格好の石を作っただよ。立派な職人だよ。今じゃもういねえよ。」
常「石垣も、(作る時は)石割りからしたもん。それはもう大変だよ。」
イ「大きな石を割って、形を整えるってことですよね?」
常「そうそう。割ってみんな整えるわけ。積む方が楽なの。積めるようにかたどるのが難しい。」
イ「石屋さんは石を削るだけじゃなく、積んでいくのも仕事なんですか?」
常「そう。私は両方やった。」
光「(伊勢湾台風で)大石川にかかる橋、みんな流されただ。」
常「そうだ、全部きれいにな。」
イ「川の恵みもあれば、災害もある。お話を聴いていると、自然の力を感じますね。」
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分校に行ったり来たり
相馬 元一さん(以下 元)「大石に、分校所があったんだよね。そこに大杉があるんですよ。お墓があって、大杉があって。一番の思い出はやっぱ、そこの枯葉を集めてきて、ストーブでぼんぼん危ないくらい焚いて、先生に怒られ、殴られ(笑)ってことですね。お墓が横でしたから、子どもだけで夜に肝試しとかね。いたずらして遊んだことを、覚えてますよ。」
イ「みなさん、年は違うけど同じ学校だったんですか?」
元「そう。俺が入学した時には、(本校から)遠い人は八郡の分校へ行ったの。それから、大石の(冬季)分校。で、3年になって、本校(畑八小学校)へ。」
光「冬季分校っていう、冬場だけのもある。おらの時、同級が13人いただ。」
元「今は考えられないよな。どこのうちも5人も6人も、子どもがいたんだからな、うようよいたよな(笑)」
光「おらほの時は履歴書書くのに大変だぞ、ほら(笑)“八郡分校”から入学してさ、卒業するときは“畑八小学校”。中学入学した時は“八千穂北部中学”。卒業する時は“八千穂中学”。みんな違うだよ(※合併などにより名称が変わった)。そん時は体育館なくて、卒業式は玄関だよ。」
イ「もしかして、一期生の卒業ですか?」
元「八千穂中学第一期卒業生は、おらほだ。暁子(あきこ)もそうだね。」
島崎 暁子さん「うふふ。」
イ「同級生が今もこうやって一緒にいるって、すごいですね!」
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川と共に生きる集落の人たちの暮らし、昔の方々の苦労のおかげで今の生活があるのだと改めて感じます。子どもたちがたくさんいた学校も、きっと賑やかだったのでしょうね。次回は大石の豊かな「水」にまつわるお話です。引き続きご覧ください。
次回はこちら――――
文 櫻井麻美