集落再発見!【上畑編①】〜縁の下がある家〜
須田能弘さんの家は、明治20年代に建てられた。今では見ることが少なくなった、縁の下がある家です。
祖父の猛治郎さんは、上畑国益養蚕実行組合の組合長であった。寄り合いはこの家で開かれ、障子を開けると14畳半の座敷がある。上座には襖が入っているが、寄り合いがあるとはずされ、高床の座敷が出てくる。8畳間が2つある広い座敷だ。
組合長、会計等偉いさんが座る。組合員たちは平座に座り、組合長の顔を見上げるようにして話し合いが行われたそうだ。
能弘さんの家には土蔵がある。樹齢200年の赤松が梁に使ってあるそうだ。
土壁の上部は丸みを帯びている。「これは何ですか。」と、富田建築の大工さんに聞くと、「はちまきだよ。ほら人間が頭にする。『はちまき』と呼ばれる飾りだよ。昔は土蔵の壁塗り専門の職人がいたな。土壁は3回に分けて塗るんだ。初めは粗塗りといって、夫婦だと奥さんが稲わらの混じった泥を丸めて、旦那さんに渡し、それを壁に投げつける。その後の中塗りと仕上げ塗りは、職人が手作りの板こてを使って塗り上げるんだ。」
文:西村 寛
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