芸能人になりたかった
10代の頃の夢。
女優とか、タレントとか、そういうカテゴリーは考えなしで、とにかく芸能人になりたかった。
理由はひとつ。
芸能人に会いたかったから。
芸能人と友達になりたかったから。
子供らしい理由で笑える。
アメリカに留学していた10代の頃。
映像関係の学校に通っている日本人に数人出会った。
学校の課題の「ショートフィルム』的な短編映画?に頼まれて、台詞なしの演技で参加した事があった。
彼は、今何をしているんだろう。
もしかしたら、映像に関わる仕事をしているかもしれないし、全く関係のない仕事についているかもしれない。
日本にいるのか、アメリカにいるのか、そこも全く知らない。
シナリオを書いている、と言う日本人にも出会った事がある。
私が話す内容が『奇天烈』ということで、シナリオの登場人物に勝手に入れてみた、と言われた事もある。
彼は今、何をしているんだろう。
作家とかになっているのか?そこに一度でも私をモデルにした人物が描かれているのだろうか?
さらに、映画監督を目指している、と言っていた日本人には
『芸能人に会いたいから、芸能人になりたいの?それ、いいね。そういうの、好きだよ』
と言われた。
彼は何をしているんだろう。
全員、名前を覚えていない。
私が覚えていない位なんだから、彼らも私のことなんて記憶にないんだろう。
すれ違っただけの人たち、みたいに、少しでも会話をして、同じ時間を共有していた過去があるのに、人は忘れてしまう。
みんな、夢が叶っているといいのだけど。
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