さくらモンブラン

春はさくら味、夏はチョコミント、秋はモンブランに夢中。写真(芸術)、言葉と態度(催眠)、筋トレ(身体)と潜在意識の繋がり方が面白すぎてハマり中。己を磨き続ける男、ダイヤの原石みたいな男の子が好き。

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春はさくら味、夏はチョコミント、秋はモンブランに夢中。写真(芸術)、言葉と態度(催眠)、筋トレ(身体)と潜在意識の繋がり方が面白すぎてハマり中。己を磨き続ける男、ダイヤの原石みたいな男の子が好き。

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最近の記事

御百度参り

お百度参りは、望みを手放すためにやる。 こう言うと、望みを叶えるために願掛けしてるのであって、望みを手放すためにやっているのではないと思われるかも知れない。 だけど私は、なんとなくそんな気がしている。 ちゃんと分かっている。ほんとうは、望みを叶えるためにやっているのだ。 でも、あまりにも望みにのめり込みすぎると、その思いと同じ強さの分だけ、叶わなかった時の絶望感も大きくなる。 その絶望感を思うと、叶わなかったらどうしようという恐怖感が生まれてくる。 叶うか叶わないかは、いま

    • entanglement 彼岸花

      車は街灯も届かない草の生い茂る暗い路肩に止まった。 「ここだよ。降りて」 『俺』はそう言って後部座席からカメラを取り出した。 今日は写真家である『俺』の写真集撮影の手伝いだ。 手伝いと言っても特に何かをする訳ではない。 撮影期間中は一人で撮影に没頭したい『俺』は、私の会いたいという誘いのしつこさに根負けして、たまに同伴しても差し支えない撮影に手伝い名目で連れて行くのだ。 夜の風景ばかりを撮る『俺』の写真の世界が大好きな私にとって、撮影に同行できるのは何より嬉しい。 こち

      • カラ元気

        「アイツなら適任だよ」 彼はそう言った。 会社組織がいきなり大幅に変わり、人事異動が言い渡され、彼の同僚が昇進したのだ。 同時に彼はヒラ営業に降格した。 二人は入社時から仲が良く、将来は会社を担うコンビになるなと冗談で言われる事も多かったし、誰もが実際そうなるんだろうなと思っていた。 前回の人事で、彼の同僚は一番店を任され、彼は立て直しのために売上の悪い店に異動した。 それからすぐ、上層組織の顔ぶれが丸ごと入れ替わり、会社が始めたのは人員整理だった。 その時点での担当店舗の

        • 核分裂核融合

          核分裂はとてつもないエネルギーが発生するとは知っていたけれど、核分裂より核融合の方がもっと高いエネルギーが発生するとは知らなかったので、初めて聞いたときは驚いた。 どうしてなんだろう。 ふと、「離婚にはエネルギーがいる」という、たまに耳にするフレーズが頭をよぎった。 でも、周囲に反対されようが障害があろうが、なんとしても一緒になろうとする人達のパワーも凄まじいよな、と思った。 この2つはどちらのエネルギーの方が強いのだろう。 離れるのは、今の環境を解消するため。 くっつ

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        • entanglement
          29本
        • 東京
          5本
        • 潜在意識
          13本
        • 写真
          7本
        • 言葉
          8本
        • 筋トレ
          4本

        記事

          二枚の地図

          大阪に住んでいて、東京まで遊びに来た時のこと。 原宿駅近くで用事を済ませると、まだ待ち合わせまでかなり時間があった。 私は表参道に行ってみようと思った。 ここからそんなに遠くはないはずだ。 当然、「原宿」も「表参道」も知っている。 お洒落な生活や、ましてファッションになどまるで興味のない私でも、つけっぱなしのテレビやネット記事、本屋に並んだ雑誌などから勝手に流れてくる情報で幾度も見聞きしてきた。 私は原宿駅に戻り、駅の路線図から表参道までの切符を買い、電車に乗った。 乗

          タロットカードと写真

          写真を撮り貯めていくうちに、特別な思い入れやエピソードのある写真というのができてしまうことがある。 その写真を撮るに至った経緯や心情、偶然のできごとなど、その一枚には背後にストーリーが潜んでいる。 人物を撮った時には、被写体となった人がその写真に収まるまでのストーリーもプラスされる。 時に写真が思いもよらなかった自分の本心を暴き出すことがある。 自分でも気づかずに心の奥底に秘めていた本心が意識より先に写真として現れ、その写真を見て知らなかった自分の本心を自覚する。 なんとも

          タロットカードと写真

          テイクとメイク

          写真を学んでいた頃、写真にはtakeとmakeがあると教えてもらった。 外に出て自然や街のありさまや人々のスナップ(当時は今ほど厳しくなかった)を撮るのがtake、スタジオでイメージを作り上げていくような撮影がmakeの写真だ。 私は撮るのも見るのも断然takeの写真が好きだ。 その時そこにしか表れないものを探して歩き回るのは楽しかったし、そんな瞬間に立ち会えた時は感動する。 なにより、原因と結果の逆転がダイナミックに起きるのがたまらなく好きなのだ。 『何を探しているのか

          テイクとメイク

          entanglement 桂花

          今から15年ほど前の話だ。 私は友人と、その友人である桂花さん宅を訪れた。 桂花さんは私より5つほど年上で、そろそろ40代に手が届きそうという年代の、料理が得意な女性だった。 複雑な家庭環境で育った桂花さんの部屋には、亡くなった彼女の父親の写真が飾ってあり、「昔は仲悪かったんだけど今は感謝している」と愛おしそうに写真を撫でる桂花さんの姿が印象的だった。 当時の私は両親と仲が悪く、そんな風に家族に感謝するようになるなんて信じられなかった。 食卓でご自慢の豆乳鍋をご馳走になり

          entanglement 漂流者

          どうやら『俺』は自分の写真集には日本語タイトルとは別に英題もつけたい性分らしい。 スナップ写真をまとめた白の写真集の表紙には、日本語タイトルと寄り添うように筆記体の英字タイトルが打ってある。 私は筆記体が読めない。 賢くも無いし勉強も嫌いだけどお利口さんの良い子だった私は一夜漬けだけは得意だった。 そうするしか無かったし、それしか出来なかった。 翌日に点を取るためだけの勉強。 明後日には忘れてしまっても構わない。 テストの点に関係ない無駄な勉強なんてしたくもなかった。 い

          entanglement 漂流者

          日常の中の魔法

          言葉は魔法だ。 たったの一言で人生まるごと変わることもある。 言葉は当たり前の道具として日常にありふれているので、それが魔法であることを忘れてしまっている。 芸術も魔法だ。 誰かの人生を翻弄し、作品の中に巻き込む力がある。 写真という芸術も、今では誰もが日常的に使っているので、それが芸術足り得ることを忘れがちだ。 私は言葉と写真の魔法に翻弄され取り込まれ、救われ人生を変えられた。 とても素晴らしい体験だった。 それらの魔法は日常と地続きのものであるが故に、魔法の世界が日常

          entanglement レトルトカレー

          ついにやってしまった。 キツイ言葉を投げつけるだけでは収まらず、とうとう私は母に手を上げてしまった。 うずくまる母から目をそらし、私は逃げるように自室に入ってドアを乱暴に閉めた。 絶縁していた両親とは、思いもよらぬ形で再会した。 父方の祖母の葬式後、父が脳出血で倒れたのだ。 親戚からの呼び出しの電話に、父なんか勝手に死ねばいいと私が突っぱねると、母が軽度の認知症になっていて困っていると告げられた。 父方の親戚のもとに、ほぼ他人の認知症老人を押し付ける訳にはいかない。 ひとり

          entanglement レトルトカレー

          entanglement 決心

          その階段はいかにも危険な感じがした。 急な角度の螺旋階段は段差も大きく、よほど注意をしないと足を踏み外しそうだった。 年老いた母親には不向きな物件であることは一目瞭然。 でも、不動産屋を何件も門前払いされ、借りられる部屋はここしかなかった。 今のマンションから早急に母を転居させる必要があった。 四の五の言ってはいられない。 それでもやっぱり頭をよぎる不安と、安全とは言えない部屋に母を住まわせる罪悪感。 母のためには、もっと別の選択肢を探すほうが良いのは分かっている。 でも、

          entanglement 二つの時計

          白の写真集の表紙が見えるように平置きでテーブルに置いていると、写真集が視界の端に少しでも入ると必ず二度見をしてしまう。 その表紙の写真に写っている後ろ姿のカップルの女性が毎回私に見えてしまうからだ。 背格好や髪型、雰囲気がまるでそっくりなのだ。 そして、カップルの男性が『俺』に似ているなと思い始める。 でも、そんな写真を二人で撮った記憶もないし、ついさっきも見間違いだと確認したばかりだから絶対に違うと分かっている。 それでも視線が吸い寄せられてしまう。 手を繋ぐ白のコート

          entanglement 二つの時計

          entanglement オバケの部屋

          我慢の限界。 私はふたたび引越しを決めた。 この土地には一ヵ月前に越してきたばかりだけど、暖かくなると同時に部屋のあちこちから続々と虫が登場した。 文字にするのもまさしく虫唾が走る、あの黒光りしたすばしっこいヤツのチビ。 あぁ、生まれちゃったのね。 予算内で収めるために決めた古いアパートだから多少の虫は覚悟してたけど、読みが甘かったんだな。私にとっては腹立たしくて気持ち悪くて最悪のできごとだけど、しょうがない。だってコイツらはコイツらで与えられた命をまっとうしようとしてる

          entanglement オバケの部屋

          entanglement テレパシー

          それは突然やってくる。 重量や実体を伴う芯のある静電気のようなものが全身を包みこむ。 数日前の夜、不思議な夢に現れたその人は、それから毎日昼間にもやってきた。 起きている時にくるのはこれで三回目だ。 一回目は自分の身に何が起きているのか全く把握できず、二回目はもしかしたらと感じ、今回でやっぱりその人だと思うに至った。 やって来たとは言っても、姿も形も声もない。 ただ私の感覚がリアルにその人を感じる。 ついに頭がおかしくなったのかと自分でも思うけど、そうとしか言いようがない。

          entanglement テレパシー

          entanglement ゼロライン

          社長は二ヶ月後の解雇を私に告げた。 長引くコロナで売上の低迷は肌で感じていたし、勤務先の販売店の撤退も致し方ないと思えた。 別の販売店に私を押し込めるだけの余裕なんて会社にはもう無かったし、会社や社長を責める気は全く起きなかった。 「色々手は尽くしたのだけど.......」 すまなさそうな社長の声に、私はこの会社で働けたことを感謝していると伝えた。 ほとんどニートに近かった私をアルバイトとして迎えてくれたのがこの会社だった。 決して給料は高くない、いやむしろ少なすぎるけど

          entanglement ゼロライン