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自作置き場

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#一次創作

白い壁にはポストカードを飾る

白い壁にはポストカードを飾る

 こころの穴を塞げる布を探してばかりで方法なんてまったく考えていない馬鹿だ。
 あしたはどう?
 ごめん、ちょっと忙しいかも
 そっか
 十九なら大丈夫そう
 十九は予定あるって言ったじゃん
 ごめん、そうだった
 ごめん、言われすぎるから辞書を引いた。なんてことない言葉が書いてあった。
 あいつはさ、どうしていっつも、ごめん、ですべてが済むと思ってるんだろ。不思議。地球上の七不思議を全生物の前で

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貴様は神になったつもりでいる。

貴様は神になったつもりでいる。

道、道、道、道、

 成り行いた道の果ては碧だった。
 ガイド。地平線の向かう道角に背けば、

 そこは谷間。裸婦は経験に胎児を育つ。

 穿つ紅葉の街灯が上昇気流を辱めば、
 馬手不馬手を晒す舞者なり。

 演者は板の上で自害し脳者は地図の上で暗殺される。亡骸食うのは歩者也哉。

 富美子は黒看板に掲げれられた神に視線を投げる。

『翡翠の海におちる』

『翡翠の海におちる』

 むらさき色の煙がパチパチと火花を灯した。と思えば、それは青色に淀んでゆき、とうとう黄色い星屑に落ち込んだ。
 診察台に俯せになっている楠は、漢方葉巻の鳴る音に、卑しい笑い声を立てる。
「大した医師だよ、先生。今時こんなに漢方魔術に手こずるプロも、中々お目に掛かれないぜ? 」
「うるさい」
 湖は年甲斐もなく不貞くされた。お互い、もう26だ。
「もう一度やる。少し待っていろ」
 彼は口に咥えていた

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