記憶の行方#ウヴェ・ショルツ
ドイツに住んでいた方と偶然に日本で友達になり、ウヴェ・ショルツの振付が面白いから紹介したい!と、熱いので、観に行った。
バレエとクラシック音楽は、切り離せないものです。
舞台監督がもともと音楽を志した方で、リズムや音楽の解釈に熱いことは承知していましたが、
クラシック音楽をどのように鍛え抜かれたダンサーに振付して、表すか?そこに惹かれていった。観ないと何にも始まりません。パンフレット手にしたものの、まったく前情報なしで、開演前に滑り込み、初見。
ウヴェ・シュルツは、自然の風の音やリズムを捉え、土の中の営みも想像させ、人間の鼓動や足音、日常の動作も音楽の一つとして振付にしているようでした。
振付は、先を行こうとしていて、でも、音楽はクラシック、そのギャプが面白みの一つかな。
音楽が身体で表現される。
身体が音楽も奏でる。
それを舞台で観ると、エネルギーがビリビリ、感電する勢い。
躍動する気持ちは、振動そのもので、震える。
踊っている人のリズムやステップの音、風を切る音、止まる時の、一瞬の静けさ。
そういったことがすべて創造そのものとして、表そうと試みている。
ピナ・バウシュ、ベジャールやフォーサイス、学生の頃、よく、繰り返し観ていましたが、ウヴェ・ショルツの振付を日本で観られるとは、突然の偶然が嬉しい。
家の中では、ハンズフリーでよいのか?ハンズフリーで話しながら街中歩く人は、不穏に見えてしまう。ん?独り言?話しかけてる?誰かと電話?
そんな人をよそ目に見て、
偶然、その日は空いてるよ、という時に連絡が来る。だから、会ってしまうのが友人で、会いたくない時は、「ごめんやけど、」と正直に言えてしまう。今回は、会ってしまう。
幕の向こうで、始まる前のダンサーの足元を慣らすコツコツという音が間近で聞こえてしまうほどの距離で、幕間も緊張と勇姿が想像できた。
観る方も緊張したけれど、踊っている方を最大に活かす最後の演出は、観客の視線ではないかと思った。
感染症対策で、短いプログラムで、行われた。
本来なら生演奏と合わせるプログラムなんですが、CDの音源で行われたことと、明らかに練習不足で、不本意な踊りを踊ってしまった方もいたのでは?と、見とれてしまった現実に、感染症対策をして、生演奏でのリハやダンサーもお稽古できる環境が整えられるよう、支援制度がもっと整備されたらよいなと思った。心を潤す芸術家は、大事にされるべきだ。
ファンに支えられて成り立つ舞台ですから、ファンの層を厚くしていくことも大事だなぁと思う。
クラシックバレエってクラシック音楽と同じように敷居の高いもの、とされそうですが、ラフな格好で観に行けます。
この時期は、ダンスフェスをオンラインでもたくさんやってもよさそうですね。