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サックスが上達しない意外な理由とは...?

野永はサックスの演奏動画、自作曲、和声法勉強動画、なんが喋る動画などをYouTubeで公開しています。今後も頑張って作っていくのでぜひ見てください!!

https://www.youtube.com/channel/UCjM5vCDA5lkgHV_MZxvFopA

野永はそれなりに多趣味なのだけど、中でも10年以上続けているサックスの腕はちょっとしたもの。ほんとうにちょっと。ありがたいことに先日音楽大学の入試に合格し、来春からは音大生、短期なので2年で卒業し(何事もなければね!!!!!!!!)、その後はサックスや吹奏楽のレッスンなどをやりたいなぁなどと考えている。

一方、去年始めた生まれたてホヤホヤ趣味が筋トレ。コロナの影響で自宅での生活が増えたことをきっかけに筋トレを初めた、という人が結構いるようで、野永の知り合いにもちらほら。また、吹奏楽部の中には練習の一環として筋トレを組み込んでいるところもあるようだ。(今はあんまりない?)

ところが実は...

ブランクってやべえよ。プランクと似てる。

ちょっと思い出話を。去年の初めごろにコロナの影響でサックスの練習場所を失ってしまい、2ヶ月ほど練習ができなかった。いわゆるブランクというやつ。吹奏楽部などで楽器をやっている人はわかると思うが、2ヶ月という期間はブランクと呼ぶにはかなり短い。夏頃に部活を引退して進学先で入部した人なら約半年、中学で吹奏楽部に入っていたが高校では入らず大学で再開した人は3年以上ということになる。社会人になって以来何年も楽器を触っていないという人も多い。それに比べれば2ヶ月なんてあっという間だ。あ~~~~~~~~~~~~~~~~~っと2ヶ月くらい声を出し続けられる人が実際にいるのか?それは君自身の目で確かめてもらいたい。

ともかく野永は短いブランクを経験した。初めてのブランクだった。普通なら、2ヶ月くらいのブランクなど大した影響はなかったかもしれない。実際数ヶ月練習していなくてもそれ以前と大して変わらない音を出す人をよく見てきた。ところが野永の場合は、2ヶ月のブランクののち楽器を吹いてみると

ぅぉぉおおおおおえゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ

みたいな音しか出なかった!伝われ!兎に角全然音が出なかった!やばみ!このまま一生サックスなんて吹けないんじゃないかと本気で思ったものだった。

その後多少はましになったものの、中学生の頃の自分の方がまだ上手という有り様で、ブランク以前の感覚を取り戻すまで、なんと1年半もの期間を要した。本当につい最近の事である。

野永が調子を取り戻すためにしたのは、去年から始めた筋トレをやめることだった。

なぜ筋トレがサックスの練習に悪影響を及ぼすのか?なぜ筋トレをやめることでブランクの不調から抜け出せたのか?

ところでプランクとはこんなん。(いらすとや 様 ありがとうございます)

プランク

筋トレのメカニズム

まずは筋トレに関する簡単な予備知識をおさらいしよう。

筋肉に限らず体の組織が損傷を受けると、補強のため損傷を受ける前よりも丈夫になるように修復する。筋トレとは、筋肉を破壊して今よりも太く丈夫な筋肉に作り替える行為である。さらに、この筋肉の破壊と修復を効果的にするために、トレーニングのやり方だけではなく、食事や睡眠といった生活習慣全般に気を配る必要が出てくる。

破壊した筋肉を修復するのに必要になるのが、筋肉の主成分であるたんぱく質、それを吸収するために炭水化物やビタミンなども十分に摂らなければならない。ちなみに、筋トレをまじめにやるにあたって一日に必要なたんぱく質は

体重(kg) × 2 = タンパク質(g)

で計算される。僕の場合、体重はほぼ60kgなので、必要なたんぱく質の量は120gということになる。これは、トレーニングをしない日にも欠かさず摂取する必要がある。筋トレをしない人の目安は、体重(kg)の数字をそのままgにする(2倍しない)といいそうだ。

この120gというのはどのくらいかというと、例えば卵一個(約50g)に含まれるたんぱく質はだいたい6gといわれるから、卵20個分。鶏むねや鶏もも100g当たりでは24g~26g程なので、鶏肉約500g分。普通に生活していたらなかなか食べない量ではないだろうか。それに、これだけのたんぱく質を肉や卵から摂取しようとすると、脂質の摂取量も上がってしまうことが多い。そのため、プロテインを活用するなどしてたんぱく質をとるわけだ。

余談だが、

やらないよりはと思ってほんの中途半端にやってもぶっちゃけ意味ない。さっき言ったように筋肉を『破壊』することが筋トレのスタートであるから、それを超えないならばただ疲れて終わり。また、トレーニングだけちゃんとやっていても食事に気を付けなければ、筋肉を壊すだけ壊して修復も不十分なまま放置、むしろ弱くなることだってあり得る。食事まで含めて初めて筋トレといえよう。

「筋肉増えなくてもダイエットになればそれでいい」と思っているそこのお前、甘い。砂糖のはちみつ漬けくらい甘い。正しく筋トレをすることがダイエットの近道だと先に言っておこう。食事制限などは論外として、運動すれば痩せると思っていないだろうな!?ええ!?有酸素運動で脂肪を燃やす、とよく言うが、実は運動し始めてから”脂肪の燃焼”が始まるまでにおおよそ30分かかる。30分未満の運動は脂肪の燃焼にならない!!

「ダイエットのために運動をしよう」と考えている人には、むしろ短時間で効果が期待できる筋トレの方がおすすめ。それなりにきつい運動をすることにはなるが、有酸素運動に比べ短時間でできる点は手軽と言える。

筋トレと楽器、相性最悪?

いよいよ本題。サックスを再開した当時、既に筋トレを初めて2か月ほど経ち、なんか痩せてきたなと感じるくらいにはなっていた。そのころに一番に感じたのは「口周りの筋肉が落ちている」ということ。口輪筋といって、音色から音の高さから音量のコントロールまで行う、サックスの演奏に最も重要とも言える部分だ。口輪筋が衰えても指は動くし、呼吸もつらくない。ただとにかく自分の出したい音が出ない!10分くらいですぐバテる!

たった2ヶ月のブランクでここまで衰えるものか?と疑問に思って、野永はいろいろなことを考えた。リードが古くなったせい?リガチャーを変えたから?パッチの厚さを変えたのがよくなかった?練習の仕方が悪い?など色々。さらに野永は筋トレについて学んでいたので、食事や練習のタイミングを変えてみる、たんぱく質の摂取量を少し増やす、といったアプローチもできた(つまり練習によって破壊された口輪筋の筋肉を効果的に修復するタイミングを探る、筋トレによるたんぱく質の不足を防ぐ、ということ)。筋トレで体格が変わったせいか?とも思っていた。今思えばリガチャーやらパッチやら筋トレやら色々と状況を変えすぎである。そのせいで主因が全く見えてこなかった。

色々なことを試しながら気づけば一年目立った進展なし...(絶 & 望)。そんなある日ふと思った。

「ん?筋トレやっているせいでそっちの修復が優先されていて口がほっとかれているのでは?」

・・・ドビンゴでした。なんということでしょう。一年間ほとんど回復を見せなかった口輪筋が、筋トレをやめただけで見違えるように回復しました。結局、たった2ヶ月のブランクだったものが、口の筋肉が回復しないために実質1年に延びてしまったのだ。しかしそこからは見る見るうちに調子を取り戻し、2ヶ月でなんとか音大主催のレッスンでまともに音が出せるくらいにはなり、4ヶ月で音大の試験になんとか通ることができた。

結論

ということで、筋トレをしていたことでそちらの筋肉が優先されてしまい、サックスの演奏に必要な口の筋肉が回復できないでいたのだった。骨折などの大きなけがをすると、怪我の治癒を体が優先して筋肉が落ちる、というがそれと似たようなもの。小さな口輪筋の損傷よりも、筋トレによる腕や胸などの大きな筋肉の損傷の方が体にとって重大な問題だったわけだ。

この一連の経験から、野永は次のような知見を得た。

1.楽器の演奏に必要な筋肉が育っていないなら、いわゆる筋トレをしない。ただし楽器の演奏で必要な筋肉に集中的に効果の出るトレーニングはやると良い。

2.筋トレするしないにかかわらず食事はしっかりとる。

特に中高生なんかは成長とともに勝手に筋肉がつくから、焦って筋トレとかせずに、楽器の腕を磨くことに集中しよう。運動が趣味の人は、楽器の練習をする日には激しい運動を控える、など工夫するといいかもしれない。

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