東京から約1時間!逗子で過ごす、忙しい日々を忘れて、何も考えないチルタイムを
神奈川県の湘南エリアといえば、鎌倉や茅ヶ崎、そして江ノ島電鉄の沿線がよくメディアで取り上げられる印象を持つ。
では、「逗子市」といわれたらどうだろうか。JR横須賀線や湘南新宿ラインの終着駅、逗子海岸などがパッと浮かんでくるが、実際に鎌倉や茅ヶ崎に雲隠れしてしまっている印象は否めない。
どうしても湘南という地域で一括りにされる事が多いかもしれない。しかし逗子に住む友人いわく「ゆっくり、のんびりという言葉がぴったりの街。鎌倉や江の島とはまた違う印象がある」という。
実際に逗子に行ってみて、とても時間の流れがゆっくりなことに気づいた。なぜ、ゆっくりとした時間が流れているのか。友人の案内のもと、街を歩いて探ってみた。
海だけではない!逗子市はこんな街。
逗子市概要
住んでいて「良い」と感じるのはどんなこと?
海だけではない魅力
私たちのような外部の人間からすると、逗子といえば「海」が第一に思い浮かぶが、実際に住んでいる住民にとっては、山もある、公害がない、街のイメージがよい、ということが魅力と感じていて海だけが魅力ではないことが分かる。
じゃあ、海以外にどんな魅力があるのだろうか。
何といっても「逗子海岸」
海だけではないとはいえ、逗子海岸を紹介しないわけにはいかない。まずは逗子海岸から。
今回、逗子の取材にご協力頂いたちかさん。彼は、私がキャリア支援を学んだ時の仲間だ。ちかさんに、今回逗子を案内してもらった。
取材日は10月上旬。気温は約30度と季節外れの暑さだったが、すがすがしい空気を感じられた。
横浜市出身のちかさんは、学生時代から母方の祖父母の家があった逗子によく遊びに行っていた。昨年より空き家となっていた祖父母の家に住むことになり、逗子市民となったそう。趣味のランニングでは、鎌倉まで走る事もあるとか。
昔から逗子海岸に来ていたのか聞いてみると、ちかさんはこう答えた。
「いや、そんなに行ってないですね。どちらかというと祖父母の家に行くことが多かったです。逗子海岸に行ったのはお盆の年に1回ぐらいでした。僕、その時は海があまり好きではなかったので、よく分からなかったんです、海の良さが(笑)。」
じゃあ、実際に住んでみて逗子海岸はどう感じているのか。
「頻繁に行きます。逗子海岸、ランニングコースですからね。砂浜でトレーニングもよくやりますし、海に反射される光がとても綺麗で癒されます。あと、仕事で嫌なことがあった時に、気分転換に海に行ってボーっとしたり、電子書籍を読んだりしてゆっくりしたりています。」
ただボーっとする時間が欲しい。誰もがそう思ったことはあるはず。それができる逗子海岸とはどんなものなのか。期待に胸を膨らませ、逗子駅から徒歩15分かけて到着。
ヨットやサップボードに乗っている人、日光浴をしている人、写真を撮りに来ている人、ランニングや犬の散歩をしている人といった光景が広がっていた。時々、子供たちの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。観光客はもちろん、逗子海岸は地元の人たちもフラッと訪れる場所なんだという事を強く感じた。
私たちも海風にあたりながら、砂浜を歩いてみる。少し場所を移動しただけで、見える景色も変わってくる。
「土日や夏のシーズンはたくさんの人で賑わいますが、平日は人が少ないのでゆっくりできます。」
ちかさんの言う通り、少し砂浜を歩いただけでゆっくりとした時間を過ごせた。
住民に愛されるカフェのテラス席でのんびりと
休憩したくなったら、逗子海岸近くの「なぎさ橋珈琲・逗子店」へ。逗子海岸から歩いて5分ほどの距離にある飲食店だ。
特徴は何といっても海が一望できるテラス席。ペットも同伴可能なため、わざわざテラス席の空きを待つ人もいるほど。私たちも迷わずテラス席へ向かった。
テラス席からは海越しに江の島や藤沢市街、そして天気がよければ富士山も見ることができる。そんな景色を見ながら、ゆっくりとした時間が流れるのを体感する。
Local Third Place(家でもない、職場でもない、海を感じながら過ごす第3の居場所)をコンセプトとして掲げているなぎさ橋珈琲。おひとり様や家族連れ、友人同士などの多くの人が家でもない職場でもない場所で、各々の時間を過ごしていた。
ちかさんも、よくこの店を訪れているという。愛想のいい店員さんと世間話をするお客さんの姿も見られた。そんな地元民が愛するこのお店は、平日でも11時30分には順番待ちが始まるので、ランチタイムは11時ごろまでの入店がおすすめ。
街を散策する
逗子の街中を歩いてみた。とはいっても逗子は小さい街だ。駅周辺を散策するのがいいだろう。周辺を散策して気になったスポットに立ち寄ってみるのもおすすめだ。
3種類のアイスクリームの試食ができ、味のチョイスに困らない。
JR逗子駅からすぐなので、帰る前のお土産にちょうどいい。
境内へ入ると不思議と風を感じ、鮮やかな緑のおかげか深呼吸がしたくなる。
街を歩いてみて、観光地のようなガヤガヤした雰囲気ではなく、落ち着いた印象を受けた。逗子市民が感じている「まちのイメージがよい」ということを感じられる時間だった。
時間がゆっくり流れている理由を考える
「逗子って、人通りが少ないのと急いでいる人がいなくて、時間がゆっくりなんですよね。」
歩いている時に、ちかさんが何気なく言った。逗子海岸だけでもゆっくりとした時間を感じることができたが、歩いていてもゆっくりとした時間を感じられる。それはなぜだろうか。
一つ目は、ちかさんの言葉の通り、人通りが少ないという事だと思う。横浜はもちろん、湘南エリアの鎌倉や江の島といった、たくさんの観光客で賑わう街というよりも、落ち着いた印象が強い街だという事。
そして私が考えるもう一つの理由、それは逗子の地形的な特徴にあると思う。
逗子は道が狭いところが多い。大きな路線バスでさえ、こんなに狭い道を走るの?と思うくらい。そうとなれば、必要なことは「譲り合い」だ。車はもちろん自転車や歩行者も速度を落とす必要がある。
この譲り合いこそが、街の時間をゆっくりにさせているのではないか、と考えた。
逗子は海だけではなく、時間がゆっくり流れていてのんびりできる街だと歩いてみて分かった。また、逗子は観光地としての一面もあるが、地元の人の買い物や散歩などの日常的な光景もよく見かける。
私たちが逗子に行くときは、住んでいる人の生活を邪魔してはいけないという事を忘れずに観光したいものだ。
逗子はどんな人におススメ?
何も考えずにボーっと海を眺めたい人や、都会のちょっと騒がしい空気から抜け出したいと感じている人は、逗子に来てのんびりとした時間を過ごすことをおススメする。
特に平日は、そのゆっくりした時間を存分に感じることができるだろう。
取材日、私は横須賀線で逗子へ向かった。大船駅から満員となった電車は、逗子の隣の鎌倉でほとんどの乗客が降りた。鎌倉が多くの観光客に人気なのはまぎれもない事実だが、その隣の逗子に行かないのはちょっと勿体ない。そんな気持ちで取材を終えた。
大きな旅行ではなくても、ちょっとしたお出かけで満足できる逗子。忙しい日常を忘れて時間を見つけて行ってみよう。きっと何も考えないチルタイムを味わえるだろう。