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【現代詩】「output」#12

前回

そして今ここを拓く季節がまたわざとらしい笑顔を浮かべながら上空を踊るオレンジの唇に白く薄く小さな花弁忘れられるときにこそその美しさをなお放ちどこまでも香り高くどこまでも無垢なその中心に向けて私は吼えたのだまだまだだまだまだだまだそこに留まれと縛り上げ放置して忘れ枯れ果て永劫の悲しみを縁から淵に投げ捨てようとあなたが身構えたその瞬間に一切悔恨の情を持たぬ薄ら笑いを浮かべつつ縁を歩き淵に突き落とし見おろして砂利をもまた蹴り落とし投げ捨てられて醜く歪み崩れたあなたのあなたの頬を抉る小石の礫と迸る鮮血今だ今泣け今だ今叫べ礫を埋め込んだこの鞭に尻を振るのだ儚く歪み崩れた頰骨と尾骨どこまでも堕ちなにもかも恨み遠くあの愛しい人の鼓膜が裂けるほどの波動を放ちながら哭け愛されていたか本当に愛されていたか彼の人もまたあなたに無色の礫を投げようと背中に手を隠してはいなかっただろうか裏切りの愉悦に浸っていたのではないかあなたに狂う者共はあなたの涙を舐めようとその肉体に群がり群がって凌辱し打ち捨て拾い上げ打ち据えて胸を踏みつける窒息しろと吐き捨てながら礫に割かれた頬を舐めるのだぺろりぺろりと舐めるのだ次第に溶けるあなたをその掌に丸め青く澄み切った空に投げればあの烏が刺し鷲が丸呑みで喰らうやがて烏の肉と混じり合い烏の精に融け交わって鷲の侮蔑を受けながら糞として地上に落ちたあなたは大地を貫いてあの淵の底へこれを繰り返し繰り返すほどそのの性は昂り激しい痙攣と共に絶頂に至るそして白痴の笑みを湛えつつ次の時代の加虐者をこの湖底で待ちながら永劫の時を靜に眠る

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