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【詩】#2 接吻(2)

キミが私のその想いを知るはずもないが

それでもすでに確定しているその

たった一度きりのキスを私は
焦らない

ゆっくりとレコード盤に目を落とし溝の一本一本を抉るように見る
ほんの小さなカビが溝の中にいれば そいつはいつか
溝を埋め
溝を乗り越え
越境して隣の溝へ それを繰り返し一本一本の溝を緩慢に侵食して
その音を奏でた音楽家の想いを踏みにじり 劣化させ やがて消し去ってしまう

キミの股間を魔的に魅せるその溝に潤いを

清廉豊饒肥沃を象徴する愛らしい膨らみの奥のクレバスの縁を
乱暴に砕き
下劣で品性の欠落した灼熱の拷問を溝に
できるだけ残酷に

望み求めながら互いを貪る約束を契るために乗り越えるべき試練は
それきり
最初で最後のキスを
再び求めない寂とした覚悟と

      清冽な悲鳴

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