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嫁鬼と、夫と、コンパッション

夫は時々、私を「嫁鬼」と呼ぶ。
世の中に「鬼嫁」という言葉があるが、それはあくまで嫁(人)がベースになっている。でも、私は鬼がベースだから「嫁鬼」だと。

それぐらい怖い時があると言いたいみたいだ笑。

半分冗談で半分本気らしいが、今回は夫婦の間で起きる「難しさ」に焦点を当て、そこに私が学んでいるコンパッションがどう役に立ったか?について話していきたいと思う。


夫婦の間で起きること(夫の言い分編)

(夫の気持ちになって書きます)
うちの嫁は嫁鬼だ。

俺は体調をよく崩す。ご飯を食べてお腹が痛くなくなってトイレに閉じこもることも多いし、旅行先で風邪を引くこともある。

とにかく身体がしんどい。
好きで体調を崩している訳ではないのに、うちの嫁鬼は、「なんでこんな時に!」と怒ったり、ただ「ふ〜ん」と反応して終わったり、そもそも反応しなかったり。

俺は心配して欲しい、気遣ってほしい。ただそれだけなのに。
熱が出て寝ている時も、「そっかぁ。じゃあ、掃除と洗濯お願いします」と言ってくる。嫁鬼・・・。

俺にわがままを言ってくる娘に対して、ついイライラ怒ってしまう時も、「イライラしないでよ!」と俺にイライラしている。時々、大きな声で怒られる。

俺なりに頑張っているのに、辛い。

夫婦の間で起きること(妻の言い分編)

(リアルな私の声)
うちの夫はよく体調を崩す。

外出中に夫のトイレ待ちになることは多々あるし、旅行の出発前で急いでいる時に限って「お腹が痛い」とトイレに閉じこもる。旅行先でワクワクしている時に横を見ると、「熱が・・」と言い始める夫がいる。

体調管理をしっかりしているなら別だが、そうでもない。いつもの展開に飽き飽きしてしまって、「大丈夫?」と声をかける気にもならない。

自分の面倒は、自分で見て欲しい。

夫は娘へのアンガーマネジメントが上手ではない。
イヤイヤ期の娘への対応が一辺倒でイライラしているのを見ると、私がイライラしてしまう。

「こうやればいいのに。いつも言っているよね?」

毎日同じことを伝え続けて、うんざり。

どうです?

まぁ、よくある夫婦間の悩みであり、難しさだと思う。

我が家は娘のイヤイヤ期が長かったので(2〜4歳前半ぐらい)、夫のイライラ期も長く、つまりは私のイライラ期も長くなっていた。

1年ぐらい「娘にイライラする夫に、私がイライラする」というコミュニケーションが続き、ある日私がブチギレた。

「いい加減にしてよ!毎日、同じことを言わせて。何も伝わってないじゃない!」

体がワナワナするぐらい怒りを覚えた。

夫は大声で怒られ、自分を否定されたように感じ、睨み返してきた。

口を開いたら怒りがどっと外に出て、言ってはいけないことを言ってしまうかもしれない、と感じて、私は口を閉ざした。

1週間以上、夫と口を聞かない日々が続いた。

夫婦の関係に、新たな切り口が必要だった

私はコンパッション・マインド・トレーニング※を提供しているが、だからといって完璧な人間でもないし、完璧なコミュニケーションができる訳でもない。

自他へのコンパッションの向け方に課題を感じてきたからこそ学んでいるし、コンパッションが多くの人にとって役にたつ学びだと実感しているからこそ、もっと広めたいと思っている。

※コンパッションというのは、「思いやり」と表現される。人は悩み・苦しむ生き物である、ということを理論(進化論や脳科学など)を通して理解し、悩み苦しむ自他に対して思いやりを持って接し、取り除こうとする考え方や姿勢のこと。

夫婦のより良い関係性を築くためにも、夫にコンパッションを向けることが必要だと思いつつ、それが難しくなっていた。特に、子育てになると、感情的になっていた。

コンパッションを夫にどう向ければ良いかがわからない・・と、ヒントを探すために読んだ本が役に立った。

付箋の量は、悩みの量。笑

簡単にいうと、人はそれぞれ愛の表現方法が違う。以下の5つの表現方法があるが、人によって重要視している手段が違うため、悩んだり問題が起きるのだ。

①肯定的な言葉 :賞賛、励まし、優しい言葉などを伝える
②クオリティ・タイム :相手に注意を向け、共感的な時間を過ごす
③贈り物 :贈り物をして愛を表現する
④サービス行為 :相手がして欲しいことをする(家事や育児など)
⑤具体的なタッチ :手を繋ぐ、抱き締める、キスするなど

あなたは、そしてあなたの大事な人は、どの表現を大切にしているだろうか?

愛情表現=コンパッション(思いやり)の表現と読み替えてほしい。

我が家の場合、夫が大事にしているのは、①肯定的な言葉なのだろう。私は、「大丈夫?」のような基本的な声掛けも苦手になっていた。

私の場合は、④サービス行為(娘への効果的な関わりと、そこからくる穏やかな暮らし)を大事にしていた。夫はそれが上手くできなかった。

1週間後の対話の内容

少し冷静になってから、対話の時間を設けた。

お互いに何に難しさを感じてるか、どんなニーズがあるかを話してみると、やはり夫のニーズは①肯定的な言葉にあることが分かった。

「余裕がなくて叱ってしまう時に、叱られると、煽られている感覚になるし、ネガティブな気持ちになる。発する言葉を考えてほしい」と夫。

私からは、「叱っている姿を見ると、心がバクバクして安心できない。『こうやってみたら?』と何度も伝えているのに、いつも同じ展開で残念な気持ちになる。ちゃんと修正して欲しい」と伝えた。

ちなみに、「娘を叱ってしまう夫を止めさせようとして、私が夫を叱る」という悪循環・パラドックスになっていた(苦笑)。分かっちゃいるけど、やめられなかった!これも人間の複雑さであり、面倒臭さだ。

私が意識するようになった夫へのコンパッション

今では、夫の娘に対する忍耐強い姿勢が見えた時は「パパ、ステキよ。頑張ってる」と伝えたり、「大変なのにパパ頑張ってくれてるね」と娘に伝えたりと、意識してコンパッションを送っている。

「夫にコンパッションの言葉を送るぞ!」と決意してからは、夫の努力もよく目に入ってくるようになった。

そして夫も様々な方法で、娘を叱らずに済むやり方にトライしている。

これを機に、我が家にスペース(余白、落ち着いた感じ)が生まれるようになった。

娘も、私たちの様子を見てか、肯定的な言葉をかけてくれることが増えたように思う。(夫が普段言ってくれる「いつも美味しいご飯をありがとう」の言葉を、娘も伝えてくれるようになった。娘は、私の料理はあまり食べないのだが・・笑)

コンパッションは動機である

コンパッションを育む上で、「知恵」「決意」「強さと勇気」が大切だと言われている。

今回の場合だと、「コミュニケーション(愛情表現)の違いがあるのは、人間としてしょうがないよね」という「知恵」があったからこそ、自分も相手もどちらか一方が悪い訳ではない、という前提に立ち返れて、少し冷静さを取り戻せた。

また「決意」「強さと勇気」と共にあったからこそ、自分の怒りを大切にしよう(≒自分を大切にする)と思えたし、この問題に本気で取り組もう、自分自身の未熟な部分にも向き合おうと思えたのだと思う。

自分の気持ちも、相手の気持ちも、どちららも大切にする
自分や家族が幸せであるために、勇気を持って向き合う

そんなコンパッションからの動機が確かにあったからこそ、忍耐強く向き合えたのだ。

おまけ

このnoteを世に出していいか夫に確認したら、過去の嫁鬼伝説を教えてもらい、「あれぇ、そんなこともあった?」と笑ってしまった。夫からは「体調崩しやすい自覚はあるけど、それほど?」と聞かれたので、「あの旅行の時も、別の外出の時も・・」と説明すると、苦笑いが・・(認めたくない〜みたいな?笑)。

これからも色々向き合い、乗り越えて、こんな風に笑えるようになるのだと思う。

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