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【アニメ感想】小市民シリーズ#4狐狼の心

少し間が空いてしまいましたが、アニメ小市民シリーズ第4話です。今回も原作小説と比較しながら感想をつらつらと書いていきたいと思います。
※原作小説を全て読んだうえでの感想なので、ネタバレ要素を含みます。

推理を進め、小佐内さんに危険が及ぶという考えに至った小鳩くんと堂島くん。彼女を助けるべく自動車学校へ急ぐ2人をよそに、事件は意外な結末を迎えます。春季限定いちごタルト事件の締めくくりとなる今話は、前半のシリアスさと後半のコミカルさが印象的な構成でした。

まず、吹っ切れた小鳩くんの推理パートから始まります。原作ではくすっとなるコミカルな言い回しもありますが、アニメではそのあたりはカット。割とシリアスに、畳み掛けるテンポを重視して描写していたように感じます。免許証でバナナをカットのくだり、割と好きだったのですが…

そしてこの長尺の推理中、小鳩くんはとても生き生きとしていました。ホワイトボードまで使って、堂島くんのみならず、アニメを見ている私たちにまで分かりやすい解説をしてくれています。小賢しいことはもうやめたと話していたのはどこの誰でしょうか。

推理に花を添えるのが、聞き手である堂島くんの存在です。彼は実直ですが単純ではありません。彼が小鳩くんの考えを妄信することなく、考察し判断することで、小鳩くんも推理をより深めていくことができます。途中で堂島くんと「証拠がない」と悩むシーンがあります。私は名探偵コナンのコナン(工藤新一)と服部平次の推理シーンを思い出してしまいました。そういえば彼らも高校生ですね。色々と規格外ですが。

証拠がないながらも、2人が小佐内さんを助けに行ったのは、小佐内さんから送られてきた、見ることのできない画像がきっかけでした。原作で画像が見えなかった理由は小鳩くんの携帯電話が古すぎたからなのですが、そこは令和仕様に「メッセージの取消」という形に変更されていました。第1話で小鳩くんがスマホを持っていたときから、どうするのかと気になっていたのですが、自然な流れですっきり。

合流して堂島くんに小芝居をうつ小佐内さんの表情は、無事ミッションを遂行できたこともありご機嫌。このあたりからシリアスな前半とは異なり、コミカルな場面が続きます。

事件が思わぬ結末を迎えたことを知った小鳩くんと小佐内さんは、喫茶店でお茶をしますが、その様子はさながら反省会です。タイトルにあった「孤狼」は小賢しい狐、小鳩くんと、復讐を愛する狼、小佐内さんのことです。「ころう」と聞くと、「虎狼」が思い浮かびましたが、以下のように意味が異なるようです。

孤狼:きつねとおおかみ。転じて、わるがしこくて害心を抱くもの
虎狼:とらとおおかみ。転じて、残忍な者。非道なもの。

『第七版 広辞苑』P1113   

2人は狐と狼であって、虎狼ではありません。事件の顛末を知って口をついた感想は「やっちゃった…」害意はあるものの、無慈悲ではないのでしょう。

この反省会パート、とってもコミカルな音楽が流れています。諦めずに小市民を目指してもう少し頑張ろうと語りかける小鳩くん。しかし我々が脳裏に浮かべるのは、今話で見た生き生きと推理を進めてしまう小鳩くんと、内気とはかけ離れた清々しい表情の小佐内さんの姿。恐らくまた「やっちゃう」んだろうなあと想像がつきます。その未来を暗示するかのように、その場で発生した訳あり男女を追いかけてしまう小佐内さんと、推理を始める小鳩くんが描かれます。さっきまでの反省の色はどこへやら。

メッセージアプリの画面で始まった第1話から、メッセージアプリの画面で終わった第4話までで、”春季限定いちごタルト事件編”は完結を迎えました。次の”夏季限定トロピカルパフェ事件編”も楽しみです!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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