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かたくりの花

もののふの八十をとめ等が汲みまがふ 
寺井の上の堅香子の花
大伴家持

たくさんの娘子たちが、入り乱れては賑やかに水を汲んでいる
その傍の寺井のほとりには、群れて咲く堅香子の花

堅香子(かたかご)とは片栗(かたくり)のこと。ご存じ「片栗粉」の原料(地下茎)です。山野草のひとつで、早春、まだどの草木も芽吹かぬうちから葉をみせ、まもなく紅紫色の首を垂れた可愛い花が、山野の樹々の足もとを一面に彩ります。

それはまるで雑木林の底一帯が、一つの花にも見えるほどの群落ですが、よく見れば、小さな片栗の花一つ一つの花盛りです。

先の家持の歌ですが、実は万葉集の中でも、堅香子(かたかご)が歌われたのはこの一首のみ。

片栗の花のそばで、花の群れにも劣らずにぎやかに、若い娘たちが水くみをしている。それは当時の生活において、なんてことない日常の景だったのかもしれませんが、家持の眼には、いとも興味深く、おもしろく映ったのでしょうね。今日もいちりんあなたにどうぞ。

カタクリ 花言葉「初恋」

春の妖精




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