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何度も同じ夢を見る

繰り返し見ていた夢がありました。

内容やストーリーは毎回違うのですが、いつも同じアイテムが出てくるんです。
そのアイテムが『服』

どこかに出かける用事があって、それに合う服を着たいのに、クローゼットの中には見当違いのものばかり…

フォーマルなものを探しているのにTシャツとスウェットしかない…とか

夢研究の第一人者であるユングは
『夢は個人の個性化を促してくれるもの』
と言っています。

個性化とは
『自己が統合された状態』
『悟りが開いた状態』
『本来あるべき自分の姿』
みたいなものだと、わたし的には解釈しています。

夢は、そういった状態に至るためのヒントを与えてくれているのだとか

と言うことは
繰り返し現れる夢のテーマは、わたしが個性化に至るために必要なヒントを与えてくれているのかもしれない。

ユングは、夢の中に出てくるアイテムやモチーフは、何か別の事柄を『象徴』しているのだと言います。

例えば、『服』は自分の表の顔、社会的な見せかけの姿、周囲が自分に期待する姿、なんかを象徴しています。

『服』が選べない、見つからないというのは、社会的にあるいは周囲の人たちに対してどう振舞っていいのかわからない、という状態を示します。

確かにこの夢をよく見ていたのは20代の頃でした。
わたし的に、一番自分に自信がなく自意識ばかりが強かったときです。

周囲に対して自分をどう見せていけばいいのか、探しあぐねていたのかもしれません。


もう一つよく出てきたモチーフが『家』

『家』は人体を象徴しています。

一階は下半身で二階は上半身、最上階は頭部、もしくは家の下部は無意識の状態、上部は意識的な状態、を意味します。


この『家』が出てくる奇妙な夢を見たことがありました。

家の屋根裏に小さな部屋があって、中には洗濯機が一つと布団が一組敷いてありました。


そしておじさんが一人、気難しい顔で動いている洗濯機をじっと眺めているんです。

ふと気づくとその部屋の向こうにはもう一つの部屋があって、そこはとても広い空間で、いくつもベッドが並んでいました。

この夢が何を意味しているのか?

夢に出てくるものは別の何かを『象徴』している、と言いましたが
もう一つ、夢は『言葉遊び』をすることがあるんです。

さっき出てきた洗濯機は
洗濯=選択
を意味しているのではないか

そして家の最上階の屋根裏は自分の頭や意識的なものを表しているので
つまりこの夢が意味するのは、頭や意識的な領域のどこかで記憶(あるいは感情)の洗濯=選択がされていて、今必要じゃないものは布団に入る、眠りの状態に入るということ。

でもそれは一時的に眠るだけで、ストックされ必要な時に目覚める。
それをあの並んだベッドが意味しているのかもしれない、記憶の貯蔵庫のように

とまあ、わたしなりの解釈はこうです。

この夢を見たのはユングの本に出会い、いろいろと読み漁っていた頃でした。

小さい時から夢に興味があって『夢の意味』を自分なりに探究していたんですが、ユングの言っていることが一番すっと入ってきたし、今まで見てきた自分の夢を照らし合わせても納得がいく感じがしました。


ユングは『何か答えが欲しいなら自分の夢に聞いてみるといい』と言っています。
この夢は眠りの領域で何が行われているのかを、示唆してくれているのでしょう。


最近見た動画で「無意識には主語がない」と言っている人がいました。
言われてみれば、わたしやあなた、という概念はとても意識的なものですね。
無意識にはきっと人と自分という境はないのでしょう。


言葉は人が作ったもので、国が違っただけでも通じません。
そう考えると、そもそも無意識には『言葉』自体、通じないのかも

言葉の主体はいつだって『私』です。
でも無意識の主体は『個』ではなく『全体』

実はさっきの『家』の夢には、それに続くもう一つの夢がありました。


と言っても、実際にその夢を見たのは『家』の夢よりもずっと前でした。
でもわたし的にはその夢が、さっきの『家』の夢の結末のような気がしたんです。
もう一歩深いところに踏み込んだような…


ある建物の地下深くへ降りていくとだだっ広い部屋がありました。
部屋というより洞窟みたいな暗くじめっとした、広い空間で
ベッドが無数に並んでいて、いろんな人が眠っていました。
男性も女性も、若い人もお年寄りも

一瞬、亡くなった人たちかな…と思ったんですが
ベッドの周りでは昔の看護婦さんのような白衣を着た女性たちが、眠っている人たちのお世話をしていました。

この夢を『家』の夢につなげてみると
意識的な領域でわたしの記憶や感情の『選択』がされて、その一部が(もしくはすべてが)地下の世界、無意識の領域に降りてゆき、もっと深遠な記憶や知識、情報のストックとなる…


一連の夢の意図はそんなことを示してくれているんじゃないかと思ったわけです。

この夢の解釈を踏まえて『夢とは何か』と改めて考えてみると


『私』が主体の記憶や感情が『全体』としての無意識の領域へ移行していくための、何らかの変換作業なのではないか


そんな風に感じるのですが…
みなさんはどう思いますか?


夢はその人の問題や悩みに、ちゃんとヒントをくれます。


それをわたしたちがくみ取ろうとすればするほど、わかりやすい形で語り掛けてくれる。


そして人生を探究しようとする人に道標を与えてくれます。

みなさんも夜寝る前に、夢に問いかけてみてはいかがでしょう。
何かしらの答えがみつかるかもしれませんよ。

そして今まで見てきた夢の中でいつまでも記憶に残っている夢は、なにか大事なことを伝えてくれているのかもしれません。


今回もお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

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