春を奪った
私の春を奪ったことを覚えていますか?
あなたを忘れるために髪が明るくなりました。
あなたの髪も明るくなったみたいですね。相変わらず似合わない格好とふざけた表情。どれだけの春を踏み潰しても大人になれないあなたのことを、もう愛おしいとは思いません。
モラトリアムはあなたのためにある言葉。それを体現した様に生きているところに憧れていました。でも、それがダサいことをあなたと別れて知りました。細くて折れそうな腕を掴むことはもう2度とないでしょう。白くてふわりとした背中をなぞることは絶対にないでしょう。私の春を奪ったことなんて、もう、覚えていないでしょう。想い出にもならない私と出会ったことなんて覚えていないでしょう。
また、今日も春を踏みつける。忘れていくのにね。