母として参拝した七五三参り
秋晴れのこの日、私はとてもきれいな髪にしてもらった。
淡い桃色のお着物に袖を通し、帯を締めてもらい、
鏡に映る自分は母親らしい姿そのものだった。
ほんとうに四人家族の母になったんだ…
もう 3 年もたつのに、いまだにあまり実感がなく、ふと見たときにそう思う。
写真館で、七五三の家族写真を撮ってもらった。
御参りに行った。
たどたどしい私の着付けに喜び、舞う 3 歳の長女。
鳥居の前で、ちょこんと一礼している娘を見て、きちんと礼儀ができるんだ、と嬉しかった。
お賽銭を入れ、目をつむった。
ほんの数秒のことだったけれど、そのまぶたの黒い情景のなかに、あの生まれてきてくれた瞬間の映像が写し出された。
まぶたの奥が、じんと熱くなった。
青空にかがやく黄金色の銀杏がきれいだった。
階段好きの長女は、やっぱりこの日ももれなく、階段をのぼっていた。
私も 3 歳の頃に着た、このお着物。時を経て受け継いだこのお着物。
楽しかったね〜♡
ほんとだね〜、すごく楽しかったね
言葉ってほんとうに、豊かなちからを持っている。
ほんの小さな言葉で、より一層、その日を輝かせてもらえる。
七五三のお写真ができあがる日が待ち遠しい。
小さな背中に輝く金色の帯が、まぶしく、にじんで見えた一日だった。
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