マガジンのカバー画像

咲ママ / 傑作集

21
咲ママの代表作を集めました。 まずこれを読んで頂きたいと思う作品から、たった一人でも読んで頂けたらうれしいなと思って書いた作品まで、大切にしている咲ママの記事たちです。
運営しているクリエイター

#自分にとって大切なこと

最後と思わないまま経験する最後

9 ヶ月の次女が、先日、卒乳した。 長女も 8 ヶ月で卒乳(断乳)したので、次女も 9 ヶ月のうちには、というのがわが家の方針だった。けれど、先日、ふと授乳なしに寝た日を機に、 『そうだ、今日でもう卒乳にしてしまおう!』 と思い立ち、実行する事にしたのだ。 だから、最後に授乳をしたのは、実はその前の日の晩だったので、『それが最後』、と思わないまま、人生最後の授乳を終えていた。 授乳というものをあまり知らない人にとっては、ちょっと理解し難いかもしれないのだけれど、生まれた

書くときに、ふとあらわれる、打ち上げ花火の法則

note を書くとき、空を見上げて、すこし考える。 空は、いろんな感情を素直に引き出してくれる。 空を見ていると、ふと、打ち上げ花火の法則、が思い浮かぶ。 『打ち上げ花火の法則』というのは、わたしが勝手に名付けたものなのだけれど、ひとことで言うと、 『ある事柄を、ひゅ〜っと一度、空に上げて、抽象化・一般化して、ふわ〜っと地上に降りてきて、ほかのものに還元すること』 だ。 これは、まだ私が京大に入学する前、浪人していた頃、勉強をしながら考えたもので、当時、私に最も足りなか

小さなにんじんから知った、うれしい褒め方

次女の初節句だった。 先日、わが家は年中にんじん料理を作る、というお話をさせてもらったが、やっぱり雛祭りの日も、にんじんが登場した。 メインは手巻き寿司パーティーなので、今日作ったのは、お吸い物と、にんじんの小鉢のみ。ちょっと、心を込めた。 食卓をのぞきこんだ、長女。 『わー ! かわいい〜!♡♡  きれ〜い♡♡ おいしそ〜う!!たのしい!!!』 歓喜の声で、くしゃっくしゃの笑顔になって、拍手をしながら、褒めてくれる 2 歳の長女。 『おかーさん、かわいい!す

記念日にふりかえって、変わらないことを、想う

5 年前の今日、結婚した。その日、手の届くところがないような、上という上がないほどの、つきぬける青空だった。今日の青空も、そのときのように、広く、心地よく、澄み渡っている。 5 年前には、今日、いまどんな暮らしをしているかなんて想像もしなかったけれど、あのとき青空を見上げながら、この先絶対に大丈夫、と根拠のなく持った確信は、守られ続けてきたと感じる。 結婚した当日のことも、8 年半前に夫とはじめて出会った日のことも、すごくよく覚えている。 夫と出会った、ということがなけ

目のきれいな人になりたい ~育休中、ただ娘を眺めるだけの一日を過ごしてみて~

ただ一度だけ、「あなたは本当に目が美しいね」と褒められた事がある。「黒く、奥まで澄んでいる」と。 その言葉は、私には恐れ多すぎる褒め言葉だったけれど、能力とか、容姿とかを褒められいるわけではなく、自分の「生き方」そのものを褒められている気がして、とても嬉しかった。 * 人の目の美しさ、というものに、私がはじめて魅了されたのは、まだそんな褒め言葉をいただく随分前のことだった。 夫がまだ夫となる前、長らく私と夫は遠距離だった。 京都と東京にいて、共に学生だった当時はお金も