「同じ大豆」
「わたしって一番だと思わない?
白くてキメが整っててぷるぷるしてて、
何よりおいしいもの。
ヘルシーだし。
変化のない煮豆なんておもしろくないわ。
豆乳やゆば、それにおからだってわたしをつくるために仕方なく出てしまったものじゃない。
わたしには敵わないわね。
きな粉なんてあんなに粉々にされちゃって…。
お気の毒ね。
納豆はもってのほかよね!
腐っちゃって。
負け組だわ。
発酵してる醤油や味噌もね。
味付けだけなんて能がないのよ。
あんたも油の力なんか借りちゃって、
みっともないわよ。
やっぱりわたしが一番ねー。」
「そっかぁ…。
でもさ、今言ったの全部大豆じゃん?
お前も俺も同じじゃん。」