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クローン病10周年
早いもので、クローン病の症状が出始めてから
10年が経ちました。
当時私は21歳。大学3年の冬でした。
当たり前になんでも食べられることは
実はとても恵まれていることでした。
それに気づいたときには、
もうそれまでの私の体ではありませんでした。
何が悪かったのか、
病気にならないためにできることはなかったのか、
何度も悔やみ、自分の運命を恨みました。
クローン病患者として生き始めたころは
今までの食生活との違いや
家族と同じものが食べられないことに苦しんで
生きるのをやめたいと思いました。
「30歳まで頑張って生きよう
そのあとは、もういいや」
と本気で思っていたのです。
しかし、気づけば30歳は過ぎていて、
そんなことすっかり忘れるくらい
穏やかな日々を過ごしていました。
「病気はなにかのメッセージである」
という言葉を耳にしたことがあります。
私がクローン病になったことにも
何か意味があるのかもしれません。
まだその意味を見つけられてはいないけれど、
10年経った今、昔よりも今あるものや
周りに感謝することは増えたと思います。
この10年間、楽しいことも悲しいことも
たくさんありました。
今が最高に幸せ!と笑った日も
もう全てを投げ出したい!と泣いた日も
全ての経験が今の私を形作っています。
私は難病になってしまったけれど、
母や夫をはじめ、家族や友達に恵まれています。
日々暮らす家があり、
美味しいものを食べることもできます。
私は、充分恵まれているんだと思います。
そう思えるくらい、今が幸せです。
そして、ひそかな夢もできました。
クローン病になって食べられないものが増えた分、
自分で作ることが増えました。
そこで身に着けた料理やレシピを
同じようにクローン病や食事制限、
アレルギーなどで苦しんでいる人々に
届けたいのです。
今はまだ夢物語ですが、いつか叶えたいです。
病気は私の一部であって私の全てではありません。
病気によってなくしたものもあるけれど
得たものもたくさんあります。
そのことに気づけただけでも
この10年間に意味はあったのかもしれません。
今日ここまで頑張って生きてきた自分を
たくさん褒めたいです。
そして、また明日からも日々感謝を忘れず
穏やかに楽しく生きていきたいと思います。
長くなりましたが、ここまで読んでくださって
ありがとうございます。
この記事を読んでくださった皆さまの日常も
穏やかで温かいものでありますように。