読書レビュー:天本英世『日本人への遺書』
集団幻想とそれをどう扱うかについて考えさせられました。
集団幻想というのは、崩壊させる要素を排除することによって維持されています。
戦時中「非国民」と呼ばれたカテゴリは、現代ではどう呼ばれるのか不明ですが、「自分の意見がある人」は、排除の対象になります。
「私はこう思う」と発言することは、集団幻想を脅かすことだからです。
集団幻想を維持することに協力的な態度を示すことが社会生活を円滑に送るためにはある程度必要なのかもしれませんが、意見を自由に言える場が失われてしまうことは人間性の消滅に直結します。
p.144『日本人への遺書(メメント) 』
「
日本人は、非常に変わり身が早い民族である。
もともと自分の意見がないから、自分だけの哲学がないから、団体人間になりやすいから、変わり身が早いのだ。これは、日本人の特徴である。そして、日本人の非常に恐ろしいところである。
私は、戦争中の日本人から現在の日本人までをずっと見ているが、日本人の内面は、戦争中も今もあまり変わっていないと思っている。
私は、本当に、日本人は非常に怖い民族だと今でも思っている。
」