なぜ、SAKE Journalistなのか【プロフィール記事】
最近、「プロフィール記事」というものの存在を知りました。noteをはじめて2年経つというのにいまさらではありますが、少し前にTwitterのフォロワーさんも4桁に突入したので、ここで改めて自己紹介をさせていただこうかな、と思います。
SAKE Journalistとは、なにをやっているのか
わたしは現在「SAKE Journalist」として、アメリカ・サンフランシスコを拠点に活動しています。
アメリカにやってきたのは2017年の6月、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のエクステンション・プログラム(社会人学生・留学生向けの短期プログラム)でジャーナリズムを勉強するための留学がきっかけ。2018年6月に卒業し、Journalism Certificate(ジャーナリズムを勉強しましたよ、という資格のようなもの)を取得してから、自分のことをジャーナリストと名乗るようになりました。
(現在、アメリカには「ジャーナリストビザ」というステイタスで滞在しています)
メインのテーマは、アメリカを中心とした海外の①ローカル酒造と、②SAKEの流通事情。
「SAKETIMES」や「SAKE Street」といった日本のメディアに寄稿したり
たまーに、複合的な記事をnoteに投稿したり
あまり得意でないので後回しになりがちですが、漫画を描いたり
自分が立ち上げた非営利メディア「SakeTips!」にて運営・編集・執筆・翻訳を手掛けたりしています。
そのほか、リサーチした情報をクライアントさんへ提供したり、人や企業をつないだり、アメリカのSAKE専門店True Sakeで販売員として働いていたスキルを生かし、外国の人に響くセールストークについてアドバイスしたり、といったこともおこないます。
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なぜ、ジャーナリズムなのか──学生〜会社員期
わたしは幼いころから本が大好きで、出版業界を志し、2007年に早稲田大学文化構想学部に入学しました。ちょうど、第一文学部・第二文学部が再編成され、文学部・文化構想学部となった年で、この文化構想学部に設置された「文芸・ジャーナリズム論系」という学科に興味を持ったのです。
大学でメディアやジャーナリズムについて学び、出版業界に就職する──当初はそう考えていましたが、思うようにはいきませんでした。理由は大きく3つあります。
ひとつめは、大学4年間での経験。ここで学んだ日々はとても有意義で、内容もとてもおもしろかったのですが、どちらかというと文学・思想・哲学系で、入学前に学びたいと思っていたこととは少し違ったのです。
また、出版業界で活躍する作家・ライター・編集者・評論家の方々と交流しながら、日本のメディア業界にやや閉塞的なものを感じ、「海外のジャーナリズムはどうなんだろう?」と留学に興味を持つようになりました。
ふたつめは、リーマンショック。わたしが就職活動をはじめた2009年はリーマンショックが起こった翌年であり、世界的不況による就活氷河期が訪れました。わたしのゼミでも半数の仲間が就活浪人を選択、みんなでそろって卒業できなかったことを覚えています。
(とはいえ2011年卒なので、東日本大震災の影響により、そもそも卒業式がなかったのですが)
みっつめは、家族の病気。就活とほぼタイミングを同じくして、家族がひとり、病気になってしまいました。就活浪人や留学、大学院への進学も夢想してはいたのですが、日々暗澹たる雰囲気に包まれる家の中で過ごしながら、「さっさと就職して、家族をホッとさせなきゃ」「本気で留学しようと思っていれば、社会人になって自分でお金を稼いででも行くだろう」と考えるようになりました。
結果、とある教育企業に就職。その1年後、編集プロダクションに転職。その2年半後の2014年9月、25歳でフリーランスの編集者・ライターに転身します。
どちらの企業もいまでも大好きで交流も続いていますが、ネックは、自分のようなワーカホリックには時間無制限で働けてしまう環境であったこと……。いつか留学する! と決めていたため、「このままでは留学できなくなってしまう」と危機感を覚え、最終的にフリーランスとなることをえらびました。
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なぜ、SAKE(日本酒)なのか──編集ライター期
学生のころから、お酒が好きでした。特に、日本酒が大好きで、ひとりで夜行バスに乗って新潟、福井、富山などへゆき、飲み歩いて夜行バスで帰ってくる、なんてことをしていました。
そんなある日、知り合いのカメラマンさんから、唎酒師という資格があることを教えてもらいます。ちょうど編集プロダクションを辞めようとしていたころで、「資格を持っているといろいろつぶしがきくかもなぁ」と思ったため、2014年にSSI認定唎酒師の資格を取得。
編集者・ライターとしてはビジネスや教育、芸能、ライフスタイルなど幅広く手掛けていましたが、一方で「唎酒ライター」を名乗り、こそこそとブログ活動をはじめます。
すると、もともと講談社「おとなの週末」など、グルメ系のお仕事がメインだったこともあり、次第に日本酒関係の仕事が増えてゆきました。
【日本にいたころに手掛けたお仕事の例】
- 講談社「Hot-Dog Press」:HDP版「日本酒」大全 40オヤジのための恥ずかしくない店・銘柄etc
- 技術評論社「うまい日本酒を知る、選ぶ、もっと楽しむ(大人の自由時間mini)」
- ナツメ社「もっと好きになる 日本酒選びの教科書」
などなど
また、和歌山県新宮の酒販店「地酒みゆきや」店主・的場照幸さんと一緒に、お酒の選び方と飲み方を紹介するパンフレットも作成しました。
新宮は、大学時代ゼミの教授に連れて行かれた芥川賞作家・中上健次の「熊野大学」がきっかけで好きになり、卒業後も個人的に毎年訪れていた場所。そこで、自分が日本酒の「師匠」と呼べるような方と出逢えたことが、人生を大きく動かしてくれました。
ちなみに、編集ライター業の傍ら、新宿にあるバーのマネージャー兼バーテンダーのお仕事なんかもしていました。
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なぜ、SAKE Journalistなのか──現在
ロサンゼルスでジャーナリズムを学びはじめたときは、「世界を変えるようなメディアを作ろう」と漠然とした想いを抱えていただけで、具体的なことは決めていませんでした。
とはいえ、日本酒は大好き。日本酒を買おうとロサンゼルスの日系スーパーマーケットを訪れますが、まずその値段に衝撃を受けます。日本で1000円台で買える日本酒が、30〜40ドルの値段で売られている──高額な学費とカリフォルニア州の生活費により減り続ける貯金をなんとかやりくりしていたわたしは、清水の舞台から飛び降りるつもりでそのお酒を購入。2本買ったお酒が2本ともバッチリ老ねていたあの悲しさは忘れられません。
さらに、英語の授業やジャーナリズムの課題で好きなテーマを選んでよいときは決まって日本酒をピックアップ。リサーチを進めるにつれ、だんだんとアメリカのSAKE事情に強い興味を抱くようになります。
(その中で書いた下記の記事は、1年後とある方の目にとまったのをきっかけに、多くの人に読んでいただきました)
機を同じくして何人かのメンバーと知り合う機会があり、立ち上げたのが非営利メディア「SakeTips!」。
「SAKEは、みんなのもの」をテーマに、さまざまなSAKEの愛し方・関わり方を紹介しながら、日本と世界をつなぐ媒体を目指しています。
UCLAにてジャーナリズムとは、メディアとはなんなのか、を学んだうえで信じているのは、ジャーナリストとは、世界を変えるために存在するということであり、メディアとは、離ればなれだったもの同士をつなぐものだということです。
わたしの夢は、自分の愛するSAKE(日本酒)が100年後、1000年後に世界中で愛される世界をつくることです。アメリカにいて、愛するSAKE(日本酒)が直面するさまざまな課題を見つめながら、その世界を実現するためには、いま、つながっていないものを、つなぐ必要があると感じています。
……というのが、なぜ、わたしが「SAKE Journalist」をやっているのか、というお話でした。
SakeTips!への想いや、ジャーナリズムへの想いなどについても、いずれ機会を見つけて書いてゆければいいな、と思います。