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11年続けたお店の名前を変える意味。

2024年1月22日、新しい酒屋ブランドの「零下-REIKA-」を立ち上げました。実は、これまでは「さくら酒店」という名前でオンラインショップを11年近くやってきました。運営会社は、私が代表を務める株式会社さくら酒店。会社名を冠したお店の暖簾を新しい名前に変えることになりました。

これまでやってきたブランドを新しいものに変えるのはどうしてなのか?
どんな想いや意図があって新しいブランドを立ち上げたのか?

今回は私自身の自己紹介も兼ねて、その辺りについて話をしてみたいと思います。

リニューアル前の本社の様子

卸販売から始まったさくら酒店

「さくら酒店」は、2013年4月に立ち上げた、日本酒専門の店舗を持たない酒屋です。岐阜県大垣市に自前の保冷庫を構えて、国内飲食店卸しと海外への輸出をスタートさせました。続いて「さくら酒店」という同じ名前でオンラインショップもスタート。当初はYahoo!ショッピングで出品をはじめ、その後にAmazonにも出品。そして自社オンラインショップを開設して、直接お客様へお届けするチャンネルとして運営してきました。

以前の自社保冷庫の中の様子

立ち上げ当初は、「店舗を持たない日本酒専門店」と言うと、みなさんから「オンラインショップのみで売ってる酒屋なんですか?」と必ず質問されました。でも実は、オンラインショップの売り上げ自体は、全体の5%にも満たない割合の酒屋で、B to Bがメインの酒屋だったんです。ミシュランの星付きのお店から、「日本料理 賛否両論」さんなどの有名店とのお付き合いを中心に、全国約500軒の飲食店への卸販売をしてきました。

飲食店での日本酒会のラインナップ

珍しい日本酒をよりたくさんの方に知っていただくには、飲食店に取り扱ってもらってお客様に飲んでいただくことが認知につながる!と思ったんですね。

日本酒とお料理の組み合わせを楽しんでいただく日本酒の会を様々なお店で開催したり、日本酒の講座などもやりました。

NHK文化センターでの日本酒講座

参加してくださった方の中から、「どこで買えるの?」や「もっと気軽にいつでも買えるようになったらいいのに」という声をいただき、オンラインショップにも力を入れていこうと思ったのが2018年頃でした。

オンラインショップに注力

当初、オンラインショップは飲食店への配達、発送の片手間でやっていました。当然のように売り上げも伸びませんでした。当たりまえですよね。商品ページの作成やSNSでの発信も、見様見真似でやっていただけなんですから。

そこで、自社オンラインショップを立ち上げて、WEBを専門とする社員を採用して、本格的にWEB事業をやり始めたのが2018年の秋。

それまで、オンラインでの販売に試行錯誤して費やした時間がかなりもったいなかったと痛感しました。「正しい努力をしないと無駄になる」と実感したのがこのころ。どんな商品をオンラインショップに並べて、どういう言葉や画像で訴求するかも戦略を立てて決めないと、闇雲にやっていてもダメです。

WEB担当の社員の若い感性とスキルを最大限に活かしてもらうために、サブスクだったりオンライン飲み会だったり、いろんなことを試しました。

日本酒のサブスクの写真
オンライン飲み会の様子

コロナというターニングポイント

2020年の春先から、新型コロナウイルス蔓延の影響で、飲食店卸しの売り上げが激減。これまでさくら酒店を支えてきた一つの柱を失いました。そこで始めたのがYouTubeです。日本酒をより多くの方に知っていただくための様々なコンテンツを考えて発信。知識を高めてもらうものや、地方別のオススメの日本酒を忖度なしでご紹介するもの、蔵元との対談、などなど「日本酒王子」というセルフブランディングを高めつつ、発信力を高めようという取り組みも続けています。

YouTubeチャンネルのサムネ

その中で、改めてさくら酒店の強みは何だろうと考え直しました。コンサルの方にも入っていただき、ゼロベースで洗い出したときに出てきたのが「マイナス5℃で管理して、最高品質の日本酒を提供していること」でした。

なぜマイナス5℃がいいのか?

みなさん、マイナス5℃で日本酒は凍らないの?と思われた方も多いかもしれません。日本酒に限らず、アルコールが含まれているものはそのアルコール度数と同じ程度のマイナスにならないと凍りません。

日本酒に関して言えば、大体マイナス15℃程度で完全に凍りますが、マイナス5℃では凍りません。マイナス8℃程度から徐々に凍りはじめるため、マイナス5℃という温度帯は凍る一歩手前の、一番低い温度帯と言われています。

創業する際にお取引の依頼に訪れた、「伯楽星」醸造元の新澤醸造店の新澤社長に、このマイナス5℃で管理することの大切さを教えていただき、自社保冷庫の温度設定は初めからマイナス5℃に設定し、管理してきました。

YouTubeでお伝えしています

お客様からは、「さくら酒店さんで買った日本酒と同じ日本酒を、他の酒屋さんで買ったんだけど、味わいが全然違っていてびっくりした」とか、「さくら酒店さんで買う日本酒はどれも外れがない」と言ったお声をたくさんいただいていました。

この「マイナス5℃管理を施した最高品質の日本酒」という魅力をどうやったら最大限に発揮できるか? というのが目下の課題となりました。

火災直後の自社保冷庫の中

火災というどん底を、決意のスタートラインに。

そんな中、2022年11月27日に隣接する建物から発生した火災によって、自社保冷庫も被災。2,000本あった日本酒もすべてが売り物にならなくなり、創業以来大切にしてきた自社保冷庫も破棄せざるを得ない状況になってしまいました。

火災直後からのストーリーはまた別の機会に詳しく書かせていただくことにして、「マイナス5℃での管理は絶対に妥協したくない」という想いは、自社保冷庫がなくなっても変わりませんでした。

「日本酒はマイナス5℃で管理することを当たりまえにしたい」

この想いを目にみえる形にして生まれたのが「零下-REIKA-」です。マイナス温度を感じさせ、また日本酒のお店としても相応しい。ここで買うお酒はすべてマイナス5℃で保管された最高の日本酒ばかり、ということを表現しました。

新しいブランドのロゴと屋号

最後に

2013年に立ち上げた「さくら酒店」はもうすぐ創業丸11周年を迎えます。立ち上げのきっかけは、特に私と駒澤が大学の在学中に留学をした際(私はアメリカ、駒澤がオーストラリア)、美味しい日本酒を美味しい状態で世界中の方に飲んでもらいたいという想いでした。留学先で常温で長い間管理された日本酒のまずさに衝撃を受けたのです。

日本でもまだまだスーパーなどで常温で管理されていることも多く、良くても開け閉めの多い冷蔵庫や陳列冷蔵庫での管理。

本当に美味しい、マイナス5℃で管理された本物の日本酒を、より多くの方に味わっていただきたいと思っています。新しいブランド「零下-REIKA-」が、飲み手のみなさんはもちろん、日本酒業界全体に貢献できるように、育てていきます。

新しいオンラインショップ「零下 -REIKA-」はこちらです。


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