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#092.「ふたりのディスタンス」感想。

珍しく妻に誘われてテレビを見た。

NHKの新番組「ふたりのディスタンス」。距離を題材にしたドキュメンタリー番組だ。

初回に登場したのは、伝説の家政婦として知られるタサン志麻さんと、その夫ロマンさんのふたり。東京の下町で子育てしながら暮らすふたりの、ほのぼのとした日常が描かれていた。

志麻さんを支える専業主夫のロマンさんが、とにかく明るい。

SNSで「ヒモ」と揶揄されようがぜんぜん気にしない。「私の夢は家族」と言い切り、左肩には漢字で「家族」の刺青もある。


番組の中盤、ふたりの生い立ちや出会いが語られる。

愛の少ない家庭で育ったロマンさん。こだわりが強くて周囲との折り合いがつかず、孤独を抱えていた志麻さん。どこか似た者同士の二人が惹かれ合うのに時間はかからなかった。

歳の差を気にして関係を深めるのをためらう志麻さんに、ロマンさんは「もっと話そう」と言い続けた。

「初めて、本当の自分を全部さらけ出せたんです」と志麻さんは涙ぐみながら語る。

そして今、志麻さんのお腹の中には第三子が宿っている。名前は燦(さん)。タサン燦さん。三番目だから(笑)。


「距離」にフォーカスしたドキュメント。

ここで映したい距離ってなんだろう?

距離にはふたつあって、ひとつは物理的な距離。もうひとつは心理的な距離。

映像にはふたりの物理的な距離が映る。

40代の子あり夫婦にしては割とスキンシップも多めだし(たぶん)、距離は近いほうなんじゃないかなと思った。

いっぽう、心理的距離ってのは映像には映せない。二人の心の間にどれくらいの距離があるのかは、表情や発言で想像するしかない。

ふたりのエピソードがここで効いてくる。ふたりが語る、ホンネの「これまで」と「これから」。

いろんなものを乗り越えてきたんだろうな、ということがわかる。だから、今の、そしてこれからのふたりの心の距離も想像できる。

うーん、これはなかなか良い視点だな。「ふたり」という最小の人間関係だからこそ描けるドラマだ。


しかしながら、相当時間をかけて取材して、編集の軸をたててやらんとエンタメとして成立せんぞと思った。もし、この番組を自分が作るって考えたら結構大変やぞ、と。面白かっただけに、続くかなぁ~と若干心配。

しかし「72時間」「ノーナレ」など、ドキュメントには定評があるNHKなので、きっと大丈夫だろう。うん。

今後は夫婦に限らず「コンビ」や「ライバル」も取り上げていくようなので、とても楽しみだ。


次回も、妻とソファで並んで見ようと思う。


ほな、また。



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ミョウガヤノブヒサ
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