【雄町】ふくよかな味わい極まる幻の酒米。
<雄町>
ある程度の日本酒好きなら
聞いたことがあるお米の名前だと思います。
岡山を代表する酒造好適米。
酒米の中で有名な山田錦の祖先です。
江戸時代末期の1859年(安政6年)に
備前国上道郡高島村字雄町(現在の岡山市中区雄町)の
篤農家、岸本甚造(きしもとじんぞう)が
伯耆大山(ほうきだいせん)を参拝した帰りに
珍しい2本の穂を見つけて持ち帰って栽培したのが
始まりだとされています。
雄町は酒米としては最も古い品種。
そして、山田錦や五百万石のルーツです。
もっと大きく言えば、現在の酒米の発祥!
と言っても過言ではない存在でしょう。
雄町の生産量は全国で約2500t:2017年現在。
醸造用玄米の約2%ほど。
でも、雄町の全生産量の95%以上が岡山県です。
雄町が幻の米と呼ばれるのには理由があります。
雄町は他の品種に比べて非常に背丈が高いのが特徴。
170cm以上にもなると言われますが、
実がつく(出穂・しゅっすい)すると穂が垂れてきて140cmくらいになります。
背が高いとどうなるか?
◆倒れやすい
→台風などに弱い
・倒れると手作業でしか刈り取りできない
◆影になりやすい
→間をあけて植えないといけない
・収穫量が少ない
諸々の理由で、雄町の生産者は減り続けました。
このままだと絶滅する!
そういう時期を乗り越えてきたのが、雄町です。
備前雄町や赤磐雄町と呼ばれているのを
聞いた事があるでしょうか?
どちらも、米の種類としては“雄町”です。
収穫された地域によって、それぞれ呼び方があるようです。
ただ、昔の備前と現在の備前市では範囲が大きく変わります。
他にも郡や市、だけでなく町名がついてるものもあります。
それくらい、皆さん自分の地域で育てたことに誇りを持ってる酒米なんだと感じています。
価格も1俵(60kg)あたりで言うと
等級や産地にもよりますが
同じくらいの高級な酒米に比べて
1000円ほどの開きがあるようです。
味わいは?というと
日本酒そのものが嗜好品なので
言い切ってしまえないのですが。。。
「ふくよかな、複雑な味わいだ。」
と表現される事が多いようです。
そういう諸々の部分からか
雄町で醸した日本酒のファンがいて
【オマチスト】
と呼ばれています。
また、全国から雄町で醸した日本酒を
鑑評するイベント【雄町サミット】も
2018年に10年目をむかえました。
こんな風に、蔵元や銘柄だけでなく
酒米しばりで色んな日本酒を体験してみるのも
楽しいかもしれないですね。