山田詠美の『ぼくは勉強ができない』が好きすぎるから語らせてください。
こんにちは〜TAMAXのふらふらです。
今回は私が好きすぎる『ぼくは勉強ができない』について語らせてください!!
(といいつつ、この記事の下書きが3年前にあり、2024年の現在、過筆してます笑)
とりあえず、好きすぎる理由は「秀美くんがカッコ良すぎる」からです。
出会い
ファーストコンタクトは、中学2年生のとき。「新潮文庫の100冊」に入っていたので、近所の品揃えが悪すぎる住吉書房にも置いてありました。
ちょうど長期休みの時期だったので、読書感想文にいいかなと思い、父親に買ってもらいました。
しかし読み始めようとしたところ、母親が山田詠美にとてつもない嫌悪感を抱いており捨てられました。アバズレ女の印象があるみたいですね。
中学2年生、親に捨てられたら読みたくなるじゃないですか。でも、捨てられてしまってお金もないので再度購入は難しく諦めました。でも、もうここで何か私には絶対に読んでやろうという気持ちが芽生えているのです。
そして月日は過ぎ、高校1年生の冬、再会をします。
確か、高校生からお小遣い制を親に懇願し(これは自分のお金事情の中で最大の判断ミス)自分のお金で好きなものを購入できるようになり、ついに『ぼくは勉強ができない』を読めることに!
簡単なあらすじ
この本は、短編になります。1話完結型。文庫本だと薄いのでだいぶ読みやすのではないでしょうか。主人公は一貫して変更はありませんが、番外編のみ変更ありです。
主人公は、とっても魅力的な時田秀美(ときだ ひでみ)。顔はいいが成績はあまり良くない。サッカー部。年上のいいお姉さんの彼女あり。
母子家庭で、母、祖父、秀美くんの3人暮らし。
私がこの本をどのような本ですか?と聞かれたら、「大人を馬鹿にすることを覚える本」と答える。「本質の見つけ方を学ぶ本」とも言えるかも。
山田詠美は「大人にこそ読んで欲しい」とあとがきに書いてありました。
面白さ
・とにかく、秀美くんが大人に向けていう言葉が痛快!!
・自分の価値観を考え直す
クラス委員長の嫌味な脇山が女に遊ばれたあげく「勉強しか取り柄がない人つまらない」と言われ、ひどい落ち方をしている時に秀美くんは「つまんないんだもん、もてないんだもんで否定されてしまうようなものなど、初めから無いも同然ではないのか。」と思います。
これ。この感情すごくないですか。初めて読んだ時に衝撃を受けました。脳天ぶち抜かれた。そんなに簡単に否定できるものの鎧を付けていたの?いや、それはむしろ鎧じゃないかもしれない。ただの布切れを鎧だと勘違いしていたのかもしれない。
結構ありますよね、そういうの。SNSで高い時計をつけて見せびらかしてたり、有名人と友達アピールを見たりすると、それあなたの価値ではないし、何を勘違いしているんだろうって。その人と友達ではなくなった自分、高い時計を付けられなくなった自分、はもう価値なしで終わるの?そうではないですよね。時計がなくたって、有名な友達がいなくたって、あなたはあなたなんです。変わりない。自分だけで戦える軸、みたいなのを持たないといけないな、とこの言葉を見ると背筋が伸びます。
そんな、かっこいい秀美くん。
でも、そうかと思えば自己嫌悪に陥ったりするのもまた可愛らしい。特に好きな話は、「賢者の皮むき」。
みんなの憧れの的、山野さんを振った時に「あなただってみんなとは違うって顔してるわよ」とビンタされる。
「ぼくのおかしな自意識も皮むきで削り取ることが出来れば良いのに。しかし自分はまだそれを手にすることができない。山野さんを嫌いだと口にしなくなったとき、皮むき器を手に入れられるかもしれない。」
どこかイケすかない人って、実は自分も似たようなところがあるから・・・みたいなのありませんか?なんか、そういう時意識してる自分も取っ払いたい〜〜〜って思う。
気持ちを言語化してくれてハッと気づかせてくれる。そんな一文です。
高校生にしては大人びているのに、自意識に潰されそうになっているのも可愛い。
26歳の今、実際読むと?
この記事を書きはじめてから、(放置されてから)3年ほど経った今。最近は、本好きの友人のおかげて、山田詠美以外の作家さんも読むことが増えました。
今まで、山田詠美しか読みたくないという異常読書をしていたのですが・・・。あと思い返すと、自分の周りに本好きの友人が今まであまりいなかった。
26歳の今、この本を読んでどう思うか。「あれ、意外と子供ぽい本なのかも」という感想です笑。それは自分が少し人生経験を積んで大人になったからなのか、他の作家さんを読んで比較ができるようになったのか。はたまた、山田詠美一神教を卒業したからなのか。
表現が結構直接的。だから学生時代は良かったのかも。
でも、今でも1年に1回以上は読み返すほど好きな本です。
高校生の頃の自分には衝撃的で、この本を読む前の自分はどうやって物事を処理していたのか覚えていません。そのくらい自分に影響がある本。自分にはこの本がなければ、1話目の脇山みたいになっていたかもなぁ。今でも「一番好きな本は?」と聞かれれば絶対にこの本。でも、もしかしたら「社会人なのに、意外と子供ぽいな〜」と周りに思われていたのかもしれないですね。それはそれで面白い。
なんとか3年越しに、このnoteを書き終えることができました!
前半と後半で、勢いが違ったかもしれませんが、ここまで読んでくださってありがとうございました!