動画で学べるシリーズ!日本酒講座「製法編 上槽」
みなさんこんにちは❗️
今回の動画で学べるシリーズ第8回は「製法編 上槽」についてです!
動画だけでなく文字でも解説していくので、お好みの形式でお酒のことを学んでもらえればと思います🍶
コチラのチャンネルの動画をベースに解説を進めていきます!
今回はコチラの動画になります!
この動画では日本酒の製法のうち、上槽について解説しています!
1.上槽
2.おり引き
3.濾過
今回はこの3つの項目で進めていきます!
1.上槽
ここまで、日本酒の製法を中心に取り上げてきましたが、仕上げの段階に入ってきました。
ここからはもろみが固形部分と液体部分に分離され、発酵が止められますが、日本酒は造りの工程はまだまだ終わりません。
まずは上槽という工程について解説していきます。
上槽とは、搾りとも言われ、ドロドロのもろみを固形部分である酒粕と液体部分である原酒に仕分けていく工程です。
その方法にも様々なものがあります。
その中でも比較的一般的な3つの方法について解説していきます。
まずは袋吊りについてです。
もろみを詰めた酒袋を吊り下げ、自然に滴る雫のみを集めて原酒とする方法です。
このため、雫取りとも言われたり、斗瓶と呼ばれる18Lの大きな瓶でお酒を受けることが多いことから、斗瓶囲いとも言われたりすることがあります。
非常に時間も手間もかかる手法ですが、圧力を加えず、重力のみで行なわれるため、雑味を最大限抑えることができます。
鑑評会などのコンテスト出品酒に多く用いられている方法です。
圧力はかからないのですが、長時間掛けて雫を垂らすため、お酒が空気に触れることが多く、酸化には注意が必要となります。
次は槽搾り(ふねしぼり)についてです。
槽(ふね)と呼ばれる浴槽のような形をしたところにもろみを詰めた酒袋を敷き詰め、上から圧力をかけることでお酒を搾る伝統的な方法です。
ゆっくりと時間をかけて圧力をかけていくので、比較的雑味も少なく搾れる方法となっています。
袋吊より、一度に大量に行なうことができますが、その分袋詰めや、袋を積み上げる作業、そして、袋から酒粕を剥がす作業などに多くの手間がかかります。
最後に自動圧搾機についてです。
こちらが、現代では一番用いられている方法になります。
布に包まれた板が何枚も並んだアコーディオンのような形をした機械を用いています。
槽搾りの場合はどうしても厚みにムラができてしまうため、均一に搾ることは難しいです。
しかし、自動圧搾機では、布ごとに一枚ずつポンプでもろみが注入され、一枚ずつ同等の圧力がかけらえれるため、均等に余すことなく搾れます。
密閉環境かつ、比較的短時間で上槽を行なえるため、酸化のリスクは低めになっています。
また、酒粕も水分がしっかり抜け、板状になるため、清掃がしやすかったりなど手間も大幅に削減されます。
しかし、強い圧力がかかるため、雑味が出るリスクがあるという点がデメリットになります。
これらが比較的一般的に用いられている上槽方法になります。
まとめると、このように、袋吊りでは雑味が出にくく、酸化のリスクがあり、手間がかかる。
自動圧搾機では雑味が出やすいが、酸化のリスクは低く、手間もあまりかからない、というふうにメリットとデメリットを抱えています。
酒蔵は目的とした酒質ごとに適した方法を選んで上槽を行なっています。
では、次に一部の蔵で行なわれている現代的な方法について触れていきます。
1つ目は遠心分離で固形部分と液体部分を分離する方法です。
高速での回転により、Gをかけることにより、固形部分を容器の底に分離していく方法です。
この方法では布を通さないため、わずかな布の香りも原酒につかないので、日本酒本来の味わいがよりクリアになります。
もろみ中の固形部分が潰れるような圧力がかからないため、雑味も出にくく、空気にも触れないため、酸化のリスクも低いというメリットがあります。
デメリットとしては、機械の値段が高いことや、遠心力で大きな力がかかるために一度に少量しか搾ることができない点です。
2つ目はいかき取りという方法です。
もろみの中に直接、固形部分を通さないくらいの穴の空いた筒を投入し、その内側から液体部分のみを取り出す方法です。
圧力を一切かけずに搾れるという袋吊りと同様のメリットがありますが、空気にも触れにくく、酸化のリスクというデメリットを軽減した方法になります。
こちらのデメリットとしては、酒粕に水分が多く残ってしまうため、原酒の収量が下がってしまう点でしょうか。
いかき取りを行なった後に圧搾機などを併用すれば、酒質は変わってしまいますが、そのデメリットをある程度解消可能です。
このように上槽の工程は様々なものがあり、目的に応じて各酒蔵で採用しています。
2.おり引き
ここまででしぼりたての原酒が出来上がりましたが、次の工程へ移っていきます。
それがおり引きです。
上槽が終わった後の原酒はまだ綺麗に澄み切っているわけではありません。
タンパク質などの細かい固形物が残っているため、うっすらと濁っています。
この小さな固形物をおりと呼び、それを除去していくのが、おり引きという工程です。
原酒を静置することでおりが沈澱するのを待ち、上澄みをとっていくのが基本的な作業になります。
タンパク質を固めるために、タンニンを含む柿渋などのおり下げ剤を使用する場合もあります。
しかし、現代では上槽の際の布や、フィルターの性能が上がっているため、次の濾過の工程とまとめて行なったり、明確におり引きという工程を設けない酒蔵も少なくありません。
3.濾過
では、その濾過の工程について解説していきます。
おり引きを行なった後でも残ってしまう細かいおりを取るという意味もありますが、主な目的は、お酒の色合いや、味わいの調整となっています。
大きく分けると、2通りの方法があります。
1つ目が活性炭濾過になります。
活性炭は消臭にも用いられたりするように非常に高い吸着性を持っています。
その活性炭をお酒の中に投入し、雑味や好ましくない香りなど、余分な成分を吸着させ、フィルターを通して濾過を行ないます。
活性炭による濾過はかなり強力で、非常にクリアな酒質になりますが、香りや旨味の成分を取りすぎてしまうリスクも存在しています。
その分、成分が安定して変化が起こりにくいというメリットもあります。
普通酒や本醸造など、スッキリした酒質のお酒によく用いられています。
活性炭の量や種類を調整することで取り除く成分をある程度選択する事もできますが、現代では、日本酒に個性求められていることが多いため、採用する酒蔵は減ってきている方法です。
2つ目はフィルター濾過です。
こちらは、活性炭を入れずにフィルターのみを通して濾過する方法です。
素濾過とも呼ばれています。
フィルターの素材は様々で、吸着する成分も異なります。
活性炭と比較して吸着する成分が少ないため、お酒の個性を活かすことができます。
先ほど、おり引きを濾過とともに行なう事もあると説明しましたが、この方法で行なわれていることが多いです。
日本酒には無濾過という肩書きがありますが、このフィルター濾過をおこなっているお酒もこれに当てはまっています。
無濾過の肩書きには明確な定義がなく、活性炭による濾過を行なっていない日本酒を一般的に無濾過と言っている場合が多いです。
このように日本酒は発酵の段階が終わってもまだまだ完成というわけではありません。
様々な工程を経て完成度を高めていきます。
昔は、衛生上の観点や、保存環境の観点などから搾りたてや無濾過のお酒はほとんど口にできませんでした。
しかし、現代ではそういったお酒も楽しむことができます。
お気に入りのお酒もあると思いますが、様々な個性の日本酒を楽しんで頂ければと思います。
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