地元のお祭りに活気を取り戻すために……
SAKE Springの想いでもある「生産者さんの可能性を広げたい」「生産者さんと一緒にサケスプを盛り上げていきたい」を実現するべく”人”に着目した記事を更新していきます。
今回は猩猩の奈尾知弥さんを紹介します。
音楽ユニット猩猩 奈尾知弥さん
香川県三豊市出身。幼い頃何かを習いたいと思った時、自分の生まれた日が「太鼓」の音が鳴り響く秋祭りの日だったことから太鼓を始めました。
猩猩の代表酒「レコ酒」は、醸造時に和太鼓の振動で醗酵を促して香川県三芳菊酒造さんと共同開発で造ったそうです。SAKE Springではいつもお酒に聞かせている音色をステージにて、迫力ある和太鼓で盛り上げてくださっています。心に響くあの音色を作り出す秘話や演奏中の想いなどを語っていただきました。
音楽学校での軍隊のような1年
高校時代は調理師免許の取れる学校に通っていた奈尾さん。卒業後は学校給食のアルバイトをしながら太鼓の学校に通い、そこでの生活は「軍隊」のようだったと仰っていました。
奈尾さん:まず朝4時半に起き雑巾がけをすることから1日が始まります。その後6kmのランニングと歌トレをしてやっと7時になる。午前中は太鼓の練習をし、お昼休憩を挟んでまた太鼓の練習をするという日常でした。
軍隊のような1年で、これを経験すればしんどいことは他にない。
最初の2か月は太鼓には触れさせてもらえず、「ドンッ」「カッ」など太鼓の擬音を叫ぶ練習しかできなかったりと、かなりハードな日々を過ごされ、奈尾さんはこの1年で太鼓が嫌いになったといいます。
「それでも続けられたのは、努力したその先に「独立」があると信じていたから。」
独立したら自分のしたい演奏ができる、もっと楽しい世界が待っていると考えたのです。そう考えた時、やっぱり自分は太鼓が好きだという気持ちに気付いたのだそうです。
辛い経験の話をされているのに、笑いながら楽しそうに話して下さる姿が印象的で、今も昔も太鼓が心から好きなのだと伝わってきました。
奈尾さんの和太鼓
奈尾さんが演奏に使っている和太鼓、何でできていると思いますか?
正解は「牛の革」です。牛の革と言ってもどの部分を使うかによって音の高さや響きが変わってくるとのこと。
奈尾さんいわく、良い音とは“気持ちよくてすんなり耳に入ってくる音”だといいます。音楽学校を卒業して大阪の和太鼓チームに3年間所属していた奈尾さんはとあるイベントに出演した時、お琴奏者との出会いで和太鼓演奏のスタイルが少し変わったそうです。
何が変わったかというと「拍手を操作する」ということです。これは、演奏を聞いている方にどれだけ心地よく聞かせるかというのを考えた時に、ここで拍手するという間を作ることで、お客様にとって息継ぎのタイミングを作るのだそうです。お琴奏者からこのことを学び、和太鼓演奏時にお客様のことも考えながら演奏できるようになったと言います。サケスプの会場で聴いたことのある方は感じているかもしれませんが、お客様の集まりやどのぐらい注目しているかなど状況に合わせて音を弱めたり強く叩いたりと会場に調和できるよう工夫されているようです。
地元のお祭りに活気を!
J:今後和太鼓を通じてどんなことに挑戦したいですか?
すると奈尾さんの夢を語ってくださいました。
奈尾さん:私の最終目標は自分のお葬式で町の子供が獅子舞をやってくれることです。
最終目標地点はなんとお葬式!?獅子舞は奈尾さんの地元のお祭りでの催しだそうで、夢を実現するために地元の獅子舞(秋祭り)に活気を取り戻したいとのこと。
奈尾さんの地元香川県三豊市は人口が減りお祭りが小規模になってきています。現在の拠点が香川県ではないのは、地元を離れて人脈を広げ、帰ってきたときに色々な人と協力して、自分が幼い時体験した活気のあるお祭りを取り戻したいという想いから、各地で活動をされています。
和太鼓×日本酒
J: 奈尾さんが日本酒を作り始めたきっかけは何ですか?
奈尾さん:初めは「MY日本酒あるのいいやん!」という理由からです。
なんとも奈尾さんらしい理由だなと感じました。
そこから三芳菊酒造さんと共同でレコ酒を造り、「日本酒と和太鼓の組み合わせは海外でウケるのでは?」と思ったそうです。地元のお祭りに活気を取り戻すという活動の中で、海外の方にも和太鼓を伝えていきたいと考える奈尾さんは、“和太鼓×日本酒”という武器で海外進出し、香川県に戻ることを志し、今日も太鼓を叩いています。。
一つ一つの目標に向かって着実に行動している奈尾さんを見ていると、とても応援したくなりました。
written by Junna.K