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Photo by
kakowara
【ショートショート】いらない世界
「あ~~っ! つまんねぇ~~!」
ある日ふと、「あっ、これつまんねぇな」と思った。ふと。本当にふと。まるで悟りにでも至ったかのように、ふと。
なんで仕事をしているのだろう。なんで嫌いな上司に頭を下げているのだろう。生活する為。生活の為に仕事をしているのだ。だが実際問題、今自分が行っているのは生活の為の仕事ではなく、仕事の為の生活ではないだろうか。となると自分は一体何の為に仕事をし、生活しているのだろうか。
何の為に生きているのだろうか。
そんな悟りを得たと同時に不思議な力を手に入れた。それはまるで神に等しい力だった。
背中に翼を生やし、鳥のように自由自在に空を飛び回る。上司や部下、果ては道行く見知らぬ他人の心を読む。雲を操り、雨を操り、天候を思うがままに出来る。大地や動物、自然の声を耳にする。
だから、気まぐれに世界をぶっ壊してみた。
「綺麗だねぇ~。君もそう思うだろ?」
「キュイッ」
崩れ果てた瓦礫の山に腰を下ろす。見上げた空は遮るものが何もない、満天の星空だった。陳腐で使い古された感想だが、それはまるで宝石を散りばめたようにきらきらと輝いていた。眩し過ぎる地上からの明かりが一切ない、自然だけで出来た星空。隣で一声同意した鳥も、その美しさに感嘆していた。
静かな大地は今まで生きてきた中で感じる何よりも、贅沢だった。
「やっぱ人間が一番いらねぇ~って話よ」
でも人間にしか作れない美しさもあるんですよねぇ。
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