BSとPLの形を当てよう!【逆会計クイズVol.01】
逆会計クイズとは、有価証券報告書の事業内容のみを読んで、BSとPLの形を当てるゲームのことである。
このゲームをやる最大のメリットは、ビジネスと会計を繋げて思考できるようになることである。
早速やっていこう。
ルール
Step1:任意の上場企業の有価証券報告書を閲覧し、事業内容とセグメント別売上高比率のみを把握する。
Step2:以下3点の予想値を整数で回答する。
BS左側:流動資産:固定資産の比率(例 3:5)
BS右側:流動負債:固定負債:純資産の比率(例 2:3:5)
PL:売上原価:販管費:営業利益の比率(例 4:4:2)
Step3:有価証券報告書のBSとPL等を閲覧し、正解の比率を算出する。
勝利条件:各予想値と実績値の差異が20パーセントポイント以内である。(例:売上原価が4割と予想した場合、2割<実績値<6割であればOK)
Input:回答に必要な情報
Vol.01で取り上げる銘柄とその情報は以下である。
4346 NEXYZ.Group(東証スタンダード)
直近の有価証券報告書に記載されている同社の事業内容及び
セグメント別売上高比率は以下である。
エンベデッド・ファイナンス事業
セグメント売上高比率は、79.3%である。
詳細は、以下のスクショをご覧いただきたい。
電子メディア事業
セグメント売上高比率は、20.6%である。
詳細は、以下のスクショをご覧いただきたい。
その他事業
割愛。
Output:回答
以上の情報から、以下の3点の予想値を作成したので、これを回答とする。
BS左側は、7:3
BS右側は、5:3:2
PLは、4:6
BS左側予想値の根拠
前提として、セグメント別売上高比率が約80%あるエンベデッド・ファイナンス事業のビジネスモデルに対して予想値を作成した。
予想値は7:3であり、流動資産が多いと考えた。
理由は、ファイナンス事業であるため必要とする設備は少ないから、そして、顧客に設備を提供して利用手数料収入を分割又は一括で得ているという事業内容での記載からして債権(リース債権)が多いと考えたから、である。
BS右側予想値の根拠
予想値は5:3:2である。
まず大型で長期の設備投資等を行うようなビジネスモデルではないことから、流動負債のほうが固定負債より大きいと考えた。
また、顧客に提供する設備の仕入で買掛金が大きいのではと考えた。さらに、利益がほぼ出ていないのだとすれば、短期の運転資金が多めに必要であるだろうと考えた。
純資産については、省エネルギー設備を提供することが主力事業であることに対して、あまり儲かっているイメージが湧かなかったため低く見積もった。
PL予想値の根拠
予想値は、4:6である。
営業利益については、BS右側予想値作成と同様の理由だが、この事業内容で潤沢な利益が出ている可能性を低く見積り、赤字の可能性すら考えたため0%とした。
売上原価は、顧客に提供する設備の仕入に係る金額が大きめであると考えた。ファイナンス事業ではそれほど大きくならないと思われる売上原価であるが、仕入を加味し4:6とした。(このリース契約の会計処理は筆者の知識不足が顕著である領域の一つであるため、あくまでも参考とされたい。)
答え合わせ
以上の予想値を実際のBSとPLと比較してみたい。
実績値
BS左側は、流動資産72.1%(予想値70%)、固定資産27.9%(予想値30%)
BS右側は、流動負債61.3%(予想値50%)、固定負債14.7%(予想値30%)、純資産24.0%(予想値20%)
PLは、売上原価47.6%(予想値40%)、販管費48.9%(予想値60%)、営業利利益3.5%(予想値0%)
勝敗
全項目において、勝利条件である「各予想値と実績値の差異が20パーセントポイント以内である」をクリアしている。
よって、勝利。
まとめ
先日、いつものように株式投資の材料探しをしていたのだが、ふと思いついたのがこの「逆会計クイズ」である。
会計クイズといえば、BSの形状を見て企業名を当てるというものだが、企業名と事業内容をもとにBSの形状を当てる逆会計クイズの方がおそらく難易度は高い。
初心者の個人投資家には全くウケないゲームだろうけれども、株式投資の腕に自信があるファンダメンタルズ投資家の皆様等におかれましては、是非この逆会計クイズで遊んでほしい。
反響が少しでもあれば作問するので、ぜひこの投稿にスキを押してほしい。また、SNSでの拡散も嬉しい。
最後まで読んでくれて感謝。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?