来年は小説を書きたい
年の瀬である。とても寒いが例年ほどではないと感じる。鉢植えのバラの花も、土の乾きが例年より早く、暖かいのだなとわかる。仕事もまだ収まっておらず、今回の年末年始は落ち着きがない。年賀状もまだ書いておらず、やることが山積していて焦りを感じる。
去年の年末は家族が新型コロナに感染し、兄と二人でサバイバルのように家のことをしたり食事を取ったりした。感染した家族の看病や食糧調達をしたりしていたが、年始にマスクなしで飛沫を浴びたところ、私までかかってしまった。死ぬかと思うほど酷い症状だったが、回復した家族がまめに世話をしてくれたことでことなきを得た。そのように色々と大変な年末年始だったので、今回は気をつけたい。
今年は小説をほとんど書かなかった。きちんと仕上げたのは第十五回創元SF短編賞に出して一次選考を通過した「Duck Egg Blue」くらいだ。これすら年始に整理して出した作品なので、それ以降まともに創作をしていないことになる。
「Duck Egg Blue」はかなり大慌てで書いて、年末年始は自分が新型コロナに感染するのを恐れて大した推敲もせずに出したので、酷い状態だった。ひどく後悔して、この作品はきちんと直して同人誌として出したが、結構評判が良かったのが更なる後悔を誘った。
このあと小説を書けなかったのは、今年一年ずっと何かしら調子が悪かったのも原因としてある。ずっと体が重く、だるくて、何となくの人恋しさが生まれて孤独に過ごすことができなかった。去年までは自分の部屋で音楽を聴きながら本を読むことを好んだが、今年は気に入って座っていた一人がけ椅子に全く座らなかった。暖かくちょうどいい気温の季節はベランダでキャンプチェアに座って本を読むのも好きだったが、今年はキャンプチェア自体に触らなかった。ずっと何となく調子が悪くて、ついに十月に帯状疱疹になった。体調が悪かったのだなとこのときようやく実感した。
帯状疱疹は大きなターニングポイントだったが、一時的に調子はよくなったものの、しばらくするとまた調子が悪くなった。毎日酷い疲労感があるのだ。休みの日は十三時間寝ても足りない。今日など十四時まで寝ていた。どう考えてもかなり体が疲れている。
小説を書いていないかのように書いているが、いくつか書きかけの小説はある。小説すばる新人賞に出そうと思って書きかけている長編小説と、連作として書いている少女と植物の作品集の完結編だ。
少女と植物の作品集は、「わたしのバーバ・ヤガー」「瀬名くんちのバラ」としてカクヨムと小説家になろうに載せている。完結作は「花咲く私たちの庭」として大きな愛を描く作品にしたい、と思って書き始めたが、全くしっくりこない。結構な文字数を書いたが、多分最初から書き直しになるだろう。
小説すばる新人賞に出す予定の作品は、読み返してもまあまあよく書けているが、調子が悪くて全く続きを書く気にならない。SFではないけれどSF的状況を活かした青春小説で、二転三転してようやく掴んだピンとくるプロットなので、うまく書きたい。その意気込みも執筆から遠ざける原因のような気もするが、私の元気が足りないのでどうしようもない。
最近は、そのように書きかけの作品を吟味することが増えた。以前は自分の作品への愛が強すぎて、書いた部分は片端から気に入ってしまい、プロットと合わなくても何とか都合をつけてでもストーリーに組み込んでしまっていたが、今はいらない部分をバッサリ切ることができるようになっている。以前なら「花咲く私たちの庭」を最初から書き直すとは思わなかっただろう。小説すばる用の作品も、この時点でこの情報は余計だとか早いとか思ったら、消して遅らせて登場させたり、完全に諦めることもできるようになった。それは成長なのだが、いざ書けなくなると、作品に対する愛が減ったような気がしてならない。
このように調子が悪いことが続き、しばらくはWEB小説と同人誌に専念しようかなと思い始めた。公募に出すとなると気合いが入りすぎるので、WEB小説や同人誌に自分のペースで作品を載せていくことで、感覚を取り戻そうということだ。もしかしたら小説すばるに出すつもりだった作品も、書き上げてから同人誌なりWEBなりに載せることになるかもしれない。
自分のペースで小説を書くことが、とても大事だと思うのだ。とにかく来年は小説を書けるようになりたい。