無題
夢を見た、悪夢だと思う。悪い夢だと、そう思えたらどんなに気楽か。
とにかく、嫌な夢を見た。
私は鳥だった。自由に空を羽ばたいていた。
私は神様だった。気ままに世界を作り上げていた。
私は硝子だった。キラキラと眩しく光を反射していた。
意味もなく、淡々と、あるいは滔々と。
それに意味なんかなくても、いや、きっと本当はあったのかも分からないけど。なんにせよ、夢の話だ。
どんな姿の私でも、どんなに完璧な私でも、私はいつも何かがどうしても足りなくて。
手を伸ばしても届かない。
そんな嫌な予感がして、訳もわからず、無我夢中で伸ばすのに、やっぱり結局届かない。
そんな夢。
手のひらから零れた羽みたいに軽いそれは、落ち葉のように脆いそれは、私の指をすり抜けて、最も簡単に砕け散った。
夢であればいいのに。夢であえたらよかったのにね。
私はもう、夢を見ない。
瞼を閉じたその先にある、真っ暗闇も、時間が経てば、前に進めば、少しは明るくなる気がしてる。
眩しいくらい、照らしておくれよ。
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