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【VR×物語】歪な人類を軽率に誕生させよう

VR×物語において、最も大事であり、最も扱いが難しいのが身体的コミュニケーションである。

会話でなく身体的接触或いは干渉によってキャラクターと関わる身体的コミュニケーションはまさに「VRらしい」大事な要素であると言える。

日本のVRゲームだと「オノゴロ物語」ではハルと手を繋ぐ事で回復できるシステムを採用しているし、「ディスクロニア:CA」ではナビゲーションNPCのリリィを撫でる事ができる。

では、最も扱いが難しいのは何故か?

謎解きやアクションゲームを除くと、エンディングは新規のハンドアクションを要する構成になりがちが、新規のハンドアクションを要する場合は「操作が直感的である事」と「手段-結果の関係がPLにとって明確である事」が必要になる。

これだけでも実際にやろうとすると難しい。SFを採用した作品では直感的な操作はUIの努力で解決できても、操作の結果として何が起こるのかはPLに分かりづらい。

また、高い体験価値を確保する為には「そのキャラとの物語を十分に積み重ねている事」か「エフェクトや音楽などの演出を強くする事」が必要になる。

拳銃は単体だと演出に期待しづらいので、銃を撃つ「空間」に何か仕込みを入れる必要があるのだが…手札がこれだけだと安直という評価から逃れられない。

では、初期構想段階でこの課題に取り組み解決しておくべきではないか?解決するならどのような手法があるのか?2パターン程出てきたので書いてみよう。

身体を拡張する:肌身離さず持っている物は身体とも言える

人間の身体に対して直接できる事は少ない。暴力とR18を除くと特に。目と両手だけの存在であるVRゲームプレイヤーにできる事など、それこそ撫でるか手を繋ぐ、何かを渡す程度では…?

それなら身体の定義を少し広げてやれば良い。肌身離さず持っている物は身体とも言えるとすれば、干渉の手段も増えるだろう。いくつか簡単に例を出してみよう。

(例1:愛煙家)
いつも煙草を吸ってる上官。日常の一コマで煙草の火を要求する所に始まり、危険な作戦の前や死の直前でも火を求めてくる。
・・・
最後に「へへ、味がしねえや」って言いそうだなこいつ。良いじゃん。
VRゲームにおいては「フィクション作品で見て憧れていた展開を自分でできる」という点で一定の価値はあるように感じる。
あと煙草の火の光で雰囲気作りするのは楽しそう。directionalLightをキャラクターに当てるのは飽きた。

(例2:仮面の男)
常に仮面をつけて現れる謎の男。NPCのAとBがいない時に限って出現するが、その正体は如何に…?
・・・
最後に「仮面を剥がす」ハンドアクションに持っていける。これなら自分で謎を明かした・物語を進めた実感を得られるだろう。人生で一回はやりたい。

身体を変更する:歪な人類を誕生させる

普通の人間は身体的コミュニケーションを要する事が少ないが、世界設定として特殊な身体を持つキャラクターを許容すれば出来る事も広がる。

歪な人類をもっと軽率に誕生させよう。
これは私の性癖を根拠に言っているのではない、ハンドアクションの理論として正しいから言っているのだ。

(例1:アンドロイド×眼球)
アンドロイドのプレイヤーは何らかの理由で片目を失い、他のアンドロイドの死体からまだ使えそうな眼球パーツを引き抜いて自分の眼窩に嵌める。
・・・
「NieR:Automata」でも似たような展開があった。「最後にお前一人だけ生き残りました」的なシーンに使えそう。ここから復讐編が始まるんですね?
また、「Virtual Virtual Reality」の無限HMDはそこそこ面白かったので、こういう目-手のインタラクションは開拓されるべきだと主張したい。

終わりに

Unityの起動時間に考えた事だったが面白かっただろうか。
バカでも考えれば3秒で気づくような内容だが、言語化して手札にしておくのは(たぶん)重要なので、こういう営みを大切にすると良いのかも…?

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