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【ADVゲームレビュー】G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.6、Vol.7/Nintendo Switch(2021)

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.6「対交錯事件」

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.7「音成刑事の捜査メモ」

Nintendo Switchに移植された「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズの第六弾、第七弾。



内容紹介


昨年から鞠浜台を中心に発生している連続殺人事件。
被害者同士に繋がりがなく、解決への糸口が掴めない状況を重く見た音成刑事からの依頼で、 探偵助手、白鷺洲伊綱は警察と共に捜査へと乗り出すことになる。

一方、探偵事務所の仕事を半ば押し付けられるような形で、 シナリオライターの生王正生は、とある企業から人捜しの依頼を受けていた。
捜査対象である女性、浜川優美子は秘書課に勤めていた契約社員。
1ヵ月間の業務期間を経た後、突然連絡が付かなくなってしまったらしいのだが…。

伊綱と生王。ふたりが遭遇する、ふたつの事件。
その果てに待つ真実とは…。

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.6「対交錯事件」



解説/感想(ネタバレなし)



フィーチャーフォンアプリゲームの復刻プロジェクト、「G-MODEアーカイブス」。
「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズを順番にプレイしている途上なのだが、ここまで右肩上がりで面白くなっているだけに、第6弾、第7弾にも期待せずにはいられない。

第4弾、第5弾は視点人物が異なる番外編のような印象だったが、第6弾「対交錯事件」については、シナリオライターである生王正生と、探偵助手の白鷺洲伊綱コンビが復活。
新要素として、それぞれが別の事件を、視点を切り替えながら並行して調査していくというシステムになっている。
生王が追う秘書の失踪事件と、伊綱が追う連続殺人事件。
どちらも同じ企業が絡んでいて、やがてひとつの事件に交わっていくという構図だ。

第7弾「音成刑事の捜査メモ」は、その名のとおりスピンオフ。
サブキャラである音成の過去編となるものの、第4弾でじっくりと深掘りした伊綱の過去編に比べると、その重厚さは雲泥の差。
迷い犬の飼い主探しという、ライトなタッチでの捜査となっている。
また、音成と犬で視点切り替えをする場面もあって、「対交錯事件」のギミックを一部踏襲。
やはり、これもシナリオへの関与度合いとしては雲泥の差。
もっとも、殺人事件がおまけになってしまう軽さ、ポップさが音成のキャラクターを示しているのは間違いなく、シリーズ全体の中で、箸休め的なストーリーだと捉えておきたい。



総評(ネタバレ注意)


シナリオの充実度からすれば、第6弾「対交錯事件」が中心になるのは必然だろう。
いつものように伊綱に良いように扱われる生王。
まんまと秘書の失踪事件を担当することになってしまうのだが、それすら伏線になっているなんて。
無給で調査に駆り出されるのが当たり前になっている本作の世界観を知っていればこそ、そこに何の疑問も抱かない。
鮮やかすぎるどんでん返しだったな、と。

一方で、伊綱パートは、ミッシングリンク系の連続殺人事件の調査。
序盤に出てくる腕試し的な暗号問題がヒントになっていたので、数字の意味は理解しやすかったものの、それが生王側の調査とどう結びついていくのかがなかなか見えてこない。
後半に進むにつれて、ふたりのパートで時系列がズレていることが推察できるようになるとはいえ、ミスリードが完璧。
長編のネタにしても良いほどのクオリティで、解決編では、随分と贅沢な体験をしたな、と高揚感が続いていたほどだ。

その反動として、第7弾「音成刑事の捜査メモ」は、やや淡泊。
犬に視点を切り替えることで、ヒトではできない操作ができていれば面白くなったかもしれないが、ストーリーを進ませる程度の役割。
事件も単調で、何が主役になっているのかが少し曖昧だったか。
飼い主の正体は確かに意外ではあったし、それが今に繋がっているということなのかもしれないけど、もう少し事件そのものと有機的に絡んでいてほしかったのが本音である。
価格対比、見劣りすることはないとはいえ、「対交錯事件」のコスパが良すぎたということで。


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