逃げてきたから：白神

君には綺麗な私だけを見てほしかった
だから君の前ではいつも笑っていた

最後まで上手く笑えていただろうか
そう思いながら君の写真を消していく
君の写真は笑顔ばかりだ
私も君の綺麗なところしか知らないや

私は君の汚いところも見てみたかったな
君の全部を知りたかったな
そう思う私は自分勝手で汚いね

お疲れ様です！！
逆撫でロマンスのベース担当、キャラメル文庫の白神です！！
今日のnoteは私です！！
ちょっと汚い話かもしれないですけど、お暇でしたら読んでください！！



私は人の家でトイレに行けない。
きれい好きとかではない。そういうのは私と一番遠い存在だ。
汚い公衆トイレとかは余裕で行ける。何なら落ち着く。
人の家のトイレだけが本当に無理なのだ。
自分でも理由ははっきりわからないのだけれど、強いて言うなら、その人のプライベート空間に自分が生きている痕跡を残すことの罪悪感。人の聖域を土足で踏み荒らしている図々しい自分への嫌悪感。
もっとわかりやすく言えば、その人の家の洗面所に我が物顔で自分の歯ブラシを置いて帰ってしまったような気分になる。

小学校低学年の時に友達の家に遊びに行った際には、トイレに行けなくて何度も漏らした。人の家のトイレに行くくらいなら、漏らす方をとった。
小学校高学年からは、公園などの公衆トイレが近くにある家だけを選んで遊びに行くようになったので、漏らすようなことはあまり無くなったが、小さい頃から今まで、人の家のトイレは基本的に無理だ。
行けたとしても、本当に仲の良い限られた人達の家のトイレだけ。
大概、今も誰かの家に行くときには、近くのトイレを見つけてから行くようにしている。そして、「ちょっとコンビニ行ってくるね」と言って、見つけていたトイレに走る。そうしている。



バンドを始めて、バンドメンバーの家のトイレに行かざるを得なくなるタイミングが何度かあった。




一度目はバンドメンバーの家でYouTube用の動画を撮った時。
動画の撮影をそろそろ始める瞬間だったので、「コンビニ行ってくるね」が使えなかった。
子供の頃に漏らすのはまだ可愛いげがあるが、アラサーの人間が漏らすのは可愛くない。それに動画を撮るどころの話では無くなってしまう。
仕方なくトイレを使わせてもらい、持っていた汗拭きシートで便座を拭き、三回水を流した。
そして動画の撮影後、帰宅して、バンドメンバーの家のトイレを使ってしまったことを思い出し、自分への嫌悪感でプチゲロした。




二度目はバンドメンバーの家でみんなで集まって、YouTubeの動画を初めてアップした時。
何度か伝家の宝刀「コンビニ行ってくるね」を使って上手いことやっていて、一日のトイレに行く平均回数はそれでクリアしていた。トイレ問題は上手くやり過ごしたと安心していた。
けれど、YouTubeの動画をアップし終わって、みんなで感慨深い感じになってるときに、トイレに行きたくなってしまった。私の膀胱まで感極まってしまった。
感慨深い感じの時に「コンビニ行ってくるね」は空気が読めなさすぎる。
でもこの状況でトイレに行くのも、少なからず空気を読めていない気がする。
そう迷っている間にも私の膀胱はどんどん感極まっていく。
地獄の天秤にかけて、仕方なくこっそりトイレに行った。
せめてトイレに行くためにトイレに入ったんじゃない感じを出したくて、涙ぐんでいる演技をしてはみたけれど、そんなの意味なかった。
だって、トイレに入った瞬間、腸まで感極まって、おならが出たから。結構な音でおならが出たから。
痕跡を残すどころの話ではない。最悪だ。くそが。
恐る恐るトイレから出る。でも、私がトイレに行ったことについては、誰一人として触れずにいてくれた。
みんなが紳士的だったからなのか、そういうのに気づかないくらいみんなの頭がお花畑だったからなのかは、今でもわからないけど。

帰宅する電車の中、一人になり、人の家のトイレを使った自分への嫌悪感でえずいた。
グループLINEでバンドメンバーみんなが盛り上がっている中、たかだかトイレのことでこんなに悩んでいる自分にも腹が立って、プチゲロした。
なんで私は人の家のトイレに行けないのだろう。
人の家のトイレに行けるようになりたいと初めて思った。



誰かと何かを一緒にするということは、その人の家のトイレに行くようなことなのかもしれない。
自分の痕跡を残すことに対して、自分の恥ずかしいものを見せることに対しての覚悟が必要だ。
私はそういうことからずっと逃げてきた。

ここまで読んでくださった方で、「男子メンバーの中にいたら仕方ないよね」と共感してくださった方もいらっしゃるかもしれない。
でも、わかってほしいのは、私が男子メンバーの中に女子が一人だからこういうことになっちゃっているのではないということ。
男女問わず、人の家のトイレに入れないのだ。
男女問わず、その人の家のトイレを使うくらいなら外で漏らした方がマシなのではないかと迷ってしまうのだ。
男女問わず、他者に対して自分の心の中で太い線を引いてしまっているのだ。
だからやっぱりこれは、逃げちゃいけないんだと思う。



まずはバンドメンバーの家のトイレに行けるようになりたいと思います！！




最後まで読んでいただいて本当に有難うございました！！

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白神