「諦める力」が、結局は最強なのでは?
元陸上選手の、為末大さんの著書『諦める力』を読んだ。
そして思った。「諦める力」って最強のスキルなのではと。
なぜなら、もう一度頑張ろう、っていう気力が湧いてくるから
人って、あまのじゃくなところが誰にでもある。たとえば「ゲームをやめなさい!」って親から言われればもっとやりたくなるし、逆に「もっとゲームをやりなさい!」と言われたら、なんか急にやりたくなくなってくる。
僕自身、大学時代にサークルでキャプテンを務めていたころ、その責任の大きやら何やらでメンタル的に参っていたことがあった。
そして普段は相談しないけど、父親に「キャプテンがちょっとつらいんだよね…」とポロッと弱音を吐いたことがあったんだ。
「責任あるポジションに就いたんだから、もっと続けなさい」
「そんな弱音を吐くな」
こんな言葉を想像していたんだけど、ちがった。
「じゃあ、やめればいいじゃん」の一言だったんだよね。
虚をつかれた僕だったが、父親の一言がやけに胸に響いた。なぜなら「一度始めたことは、最後まで続けるべき」という考えが自分にあったから。それは考えというか、もう固定観念といえるほど僕の中に染み付いていたこと。
だからこそ、キャプテンという辛いポジションであっても「続けなければいけない」と頑なに信じていたし、だからこそ辛くても逃げ出せない状況に対し、袋小路に迷い込んでしまったような暗い感覚を抱いていた。
でも、辞めてもいい、という言葉をもらって、心がフッと軽くなったんだよね。
「あぁ、この迷路は一本道じゃなくて、色々な道に分かれているんだな」
「違う道を選んでも、死ぬわけじゃないんだな」
と思ったことをうっすらと覚えている。
人って不思議なもので、「やめてもいい」と思えると、「とりあえずがんばろう」と思えてくる。「やめればいいじゃん」という父に、どこか反発する気持ちもあったのかもしれないが、いずれにせよ、僕はキャプテンを続けられたし、いま振り返ると続けてよかったと思っている。
「諦める」は、「明らめる」ということらしい(定かではないが)。
「諦めれたらそこで終了ですよ」という安西先生の言葉は素晴らしいけど、バスケの試合と現実は違う。
むしろ色々な選択肢が用意されている今こそ、為末さんが言うような「前向きな諦め」が大事だと思う。
諦めることで、また違う道が”明らか”になってくる。
諦めるって、逃げじゃなくて、ただの「選択」なんだよね。