
歌舞伎界以外の女形で人間国宝になった役者は?
ある方から、花柳章太郎さんのことを伺ったのがきっかけで、随筆「わたしのたんす(昭和38年発行)」を古本屋で見つけて購入しました。


花柳章太郎さんは新派を代表する女形役者で、歌舞伎以外の女形の役者さんで唯一人間国宝になられた方です。


戦前戦後の混乱機を女形一筋に貫いた役者さんです。
大正時代末期に六代目尾上菊五郎さんに歌舞伎界に来ないかと誘われましたが、断ったそうです。
そんな章太郎さんの着物にまつわるエッセイは時代性もあり、なかなか面白い内容です。
女性を客観的に観察し、舞台の女形の型にオリジナルのアレンジを加え、「色気」や「美しさ」、そして「しなやかさ」時には「粋な女」を演じてこられたのです。
新派の女形役者として活躍する一方、1910年には新劇座を結成し、創作劇や翻訳劇の研究上演も行っています。戦後は、水谷八重子と共に新派を率い、映画にも出演するなど幅広く活躍しました。
代表作としては、『滝の白糸』、『婦系図』、『明治一代女』などがあります。
1960年には人間国宝に認定され、1961年には芸術院会員、1964年には文化功労者にも選ばれるなど、その功績は高く評価されています。
昭和14年、溝口健二監督に乞われて映画『残菊物語』に主演、悲劇の歌舞伎役者・二代目尾上菊之助を演じました。
専門ではない歌舞伎の女形の役者を演じるという役柄に大変な苦労したそうですが、観客は白塗りの花柳章太郎を絶賛しました。
これ以降、花柳章太郎さんは本格的に女形にのめり込んでいったそうです。
こうしてみると、色々と玉三郎さんと共通点が多いので、叶うならば、お二人の対談を聴いてみたかったです。
#和文化ビジネス思考 講師
成願義夫
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