見出し画像

センスは知識

以前、京都で手描き友禅の競技会に行き、作品を拝見したのですが、作家の皆様は、それぞれに素晴らしい力品を作っておられました。

その中にとても残念な作品が一点目につきました。

雲の染め分け背景の上に多種類の花柄が描かれていました。

流石に花は写生を元に描いておられていたようで、素晴らしかったのですが、背景の雲が稚拙で、花が上手く描けていただけにギャップが大きすぎて、とても残念でした。
古典的な雲を描くなら、型を守った上でアレンジする必要があります。
雲は、伝統デザインの『型』で表す形です

これを他の事に例えるならば、才能豊かな映画俳優が歌舞伎の型を知らずに、セリフだけ覚えて歌舞伎の舞台に上がったようなものです。他の役者は型通りの演技をしますのでとても違和感があるのはお分かりいただけると思います。

話を友禅作品に戻すと、決して才能が無いわけじゃ無いのに、伝統の型を学んでおられなかったばっかりに自分の作品の質を落としてしまっていたという事です。

いっそ、雲を描かずオリジナルな背景を表現していればよかったのかもしれません。

ご本人はそのことに気がついていなかったと思います。

「技術と才能があるのにセンスが無い」という典型的な作品でした。

そもそも、センスとは知識です。
生まれながら持つ感性とは別物です。

実は「感性」もセンスによって磨かれ、より輝きを増すのです。。

伝統文化に紐づく作品作りで欠かせないのは、「どれだけ上質な物や本物を知っているか」なのです。

つまり着物の場合、「伝統の型を知っているか」が、「どれだけセンスがあるか」と、イコールなのです。

着物図案教室

成願義夫

https://www.jogan-kimono-design-school.com/

いいなと思ったら応援しよう!

成願 義夫(ジョウガン ヨシオ)
よろしければサポートをお願いします。 着物業界の為、着物ファンの為、これからも様々に活動してまいります。